研究実績の概要 |
2013年度~2015年度に東北メディカル・メガバンク計画の「地域支援センター型調査」に参加し、かつ2014年7月から開始された「脳と心の健康調査」に参加した者を対象とした。解析にはMRIデータのクリーニングが終了した2017年3月時点のデータ(4,300人)を使用した。そのうち、食物摂取頻度調査票(FFQ)の回答データおよびMRIのデータがある2,797人を解析対象とした。 アウトカムはFreeSurferを用いて算出された灰白質容量および海馬左右平均容量とした。灰白質容量および海馬左右平均容量は頭蓋内容積で補正した。曝露要因は、先行研究より認知機能と関連があると報告されている食品も含め、きのこや野菜、魚、緑茶等とした。FFQによる推定食品摂取量を用い、因子分析により「日本食パターン」「洋食パターン」「魚・飲酒パターン」を抽出し、各食事パターンを点数化した。目的変数を補正済みの灰白質容量あるいは海馬左右平均容量、説明変数を各食品とした重回帰分析を実施し、年齢、性別、BMI、飲酒量、喫煙状況、収縮期血圧を調整した。 解析対象者の平均年齢は55.9±12.7歳、男性941人(33.6%)、女性1,856人(66.4%)であった。年齢と灰白質容量、年齢と海馬左右平均容量とのSpearmanの相関係数はそれぞれ-0.66、-0.54(いずれもp<0.01)と、年齢と灰白質容量および海馬左右平均容量は負の相関を示した。また、エネルギー摂取量が未調整ではあるものの、きのこの摂取量は他の調整項目と独立して有意な正の関連が認められた。また、洋食パターンのスコアが高い者は低い者と比し、調整項目を考慮した海馬左右平均容量は有意に多かった。 特にきのこに含まれている成分として、ビタミンDやアミノ酸が含まれているためオミックス解析については今後も共同研究等で詳細に検討し、明らかにする予定である。
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