哺乳動物は必須脂肪酸が欠乏すると、生体内に存在するオレイン酸からミード酸(20:3n-9)という内因性の多価不飽和脂肪酸(PUFA)が産生される。本研究では、必須脂肪酸が欠乏すると脂肪酸伸長酵素ELOVL5がリン酸化修飾を介してオレイン酸にも基質特異性を有し、ミード酸の産生に関与する新規的機構を明らかにした。また、必須脂肪酸欠乏時にミード酸の産生を阻害すると、肝臓から血中への脂質移行を担うリポタンパク質VLDLの分泌抑制を介して肝臓に中性脂肪蓄積を誘導することを明らかにした。これらの結果より、必須脂肪酸欠乏時のミード酸は肝臓の脂肪蓄積に対して抑制的に作用する可能性が示唆された。
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