研究課題
PPARαは絶食時に遊離脂肪酸により活性化され、ケトン体合成の遺伝子を誘導する転写因子である。他方、ChREBPは摂食時に活性化される転写因子である。したがって、ChREBPは摂食時に活性化され、PPARαは絶食時に活性化する転写因子と一般に考えられており、両者は鏡像的な変化を示す。また、Fgf21は抗肥満作用を持つ分泌蛋白と知られるが、ChREBPとPPARαの両方で制御されるため、絶食時及び高炭水化物食刺激の両方で誘導されることが知られる。さらに最近、PPARα欠損マウスでは、ChREBPによる肝Fgf21誘導効果が減弱することが報告されたことから、ChREBPノックアウトマウスを用いて逆の事象(すなわち、ChREBPの抑制下ではPPARα活性が減弱するか?)も同様に成立するか検証した。PPARα選択的活性化薬ぺマフィブラートの投与により、野生型マウス(WT)は血糖低下、血中3-hydroxy-butyrateの増加を認めたがChREBP欠損マウス(KO)は増加作用の減弱が見られた。WT、KO共に血中Fgf21は増加したものの、KOでの増加は減弱した。WT、KOともPPARα標的遺伝子Acoxが誘導されたがKOではほぼ同程度であった。他方、Fgf21も誘導されたがKOでは50%低下した。Acoxプロモーターに対するPPARα結合誘導は同程度だが、Fgf21プロモーターに対するPPARα結合誘導はKOで60%程度低下した。Fgf21のプロモーターにはChREBPとPPARの結合領域が隣接しPPARαとChREBPが協調的に転写活性化に関与するためと考えられる。したがって、Fgf21プロモーターの特殊性(ChREBP及びPPARα結合部位が隣接していること)が、ChREBPノックアウトマウスで見られるFgf21遺伝子発現の特殊性に寄与すると思われた。
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