ヒトの進化の過程において、食料(エネルギー)確保が制限される困難な状況を耐えうるために、栄養素を効率的に吸収できる適応メカニズムを発達させた可能性があることは、想像に難くない。しかし、現代のような飽食な環境においては、このメカニズムは生体に富栄養を引き起こし、肥満や糖尿病、各種癌などの発病リスクを上昇させることが懸念される。本研究にて、野菜由来の短鎖脂肪酸を細胞に取り入れる短鎖脂肪酸受容体とアミノ酸トランスポーター発現に相互制御機序が存在する可能性が示唆された。近年増加した膵癌や大腸癌などは、食の西洋化と関連付けられているが、その機序に関わる可能性が推測され、今後の更なる研究が望まれる。
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