研究課題
本年度は、昨年度までに見出した歯周病原細菌P.ginigivalisに対して抗菌活性を示した物質のうち、細胞毒性も低く、大量生産に成功したプルニンラウリン酸エステルについて、歯周病感染動物モデルでの歯周病の抑制効果の評価を行った。実際の方法は、抗菌剤投与により前処理して、常在菌を除いたのち、ヒトの慢性歯周病の病原細菌の強毒型のP. ginigivalis W83株を2%カルボキシメチルセルロース(CMC)-PBS溶液に懸濁したものを1日おきに5回歯肉付近に塗布し、感染させた。非感染群には2%CMC-PBS溶液のみを塗布した。さらに感染と同時に飼料にプルニンラウリン酸エステルを添加した群と添加しない通常の飼料の群に分け、自由飲食させた。塗布終了から6週間後に麻酔下に屠殺して、上顎骨の摘出と血液を採取した。摘出した上顎骨をメチレンブルー染色して、頬側・口蓋側のセメントエナメル境-歯槽骨頂(CEJ-ABC)間距離を測定し歯周病の病態振興の指標とした。その結果から、非感染群と比較して、感染群ではCEJ-ABC間距離が増大していた。またP. gingivalis感染のプルニンラウリン酸エステルを添加飼料群で、通常飼料群に比べCEJ-ABC間距離が低下しており、歯周病の歯槽骨吸収を抑制する傾向が認められた。一方、血液中の炎症性サイトカイン濃度をELISA法により測定したところ、非感染群に比べてP. ginigivalis感染群ではIL-1βが上昇していたが、プルニンラウリン酸エステル飼料群での低下は認められなかった。これらの知見は、歯周病やその関連疾患の予防や抑制に有用な口腔衛生用品の開発に役立つ可能性があると考えられる。
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