研究課題
本研究では、分子標的薬による免疫低下の指標および有用な食品成分を見出すことを目的に検討を行った。分子標的薬による免疫低下および有用な機能性食品成分を同定する目的で、腸管由来株化培養細胞を用いて、各成分曝露によるα-ディフェンシン、TLR4、EGFR mRNAおよびタンパク質発現量への影響を評価した。腸管由来株化細胞に分子標的薬および食品成分を曝露し、α-ディフェンシンおよびTLR4、EGFR mRNAおよびタンパク質発現量に及ぼす影響を確認したところ、分子標的薬曝露によってα-ディフェンシンおよびTLR4の発現低下、さらにEGFRのリン酸化を抑制することが明らかとなった。また、脂肪酸曝露では、TLR4を介したα-ディフェンシンの発現量の増加が確認された。さらに、分子標的薬による免疫低下に対する機能性食品成分の影響を評価するため、分子標的薬および機能性食品成分併用によるα-ディフェンシン、TLR4、pEGFRタンパク質発現量への影響について検討を行った。腸管由来株化細胞に分子標的薬および各食品成分を曝露し、α-ディフェンシンおよびTLR4、EGFRタンパク質発現量に及ぼす影響を確認したところ、分子標的薬曝露によるα-ディフェンシンおよびTLR4の発現低下を脂肪酸が回復することが示された。また、分子標的薬によるEGFRのリン酸化抑制に対して影響が確認されなかったことから、治療効果には影響しない可能性が示唆された。以上のことから、抗がん剤治療により腸管免疫の指標の一つであるα-defensin減少すること、さらに食品成分を併用することで、抗がん剤による免疫低下を回避できる可能性が見出された。
すべて 2021
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Biol. Pharm. Bull
巻: 44(2) ページ: 275-278
10.1248/bpb.b20-00644