研究課題/領域番号 |
17K00872
|
研究機関 | 天使大学 |
研究代表者 |
松下 真美 天使大学, 看護栄養学部, 助教 (60517316)
|
研究分担者 |
斉藤 昌之 北海道大学, 獣医学研究院, 名誉教授 (80036441)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 魚油 / ω3脂肪酸 / 褐色脂肪組織 / メタボ |
研究実績の概要 |
褐色脂肪組織は代謝的熱産生の特異的部位である。我々は、ヒト褐色脂肪の評価法を確立し、これが体脂肪や血糖、リポタンパク質代謝の調節に関与することを明らかにして、褐色脂肪を活性化・増量すれば肥満・メタボリック症候群(以下メタボ)を軽減できることを証明してきた。一方、魚油に特徴的なω3脂肪酸のメタボ予防効果とその作用メカニズムについては広く知られているが、ω3脂肪酸が褐色脂肪を活性化するという全く新しい作用がマウスで報告された。そこで本研究では、ヒト褐色脂肪と食事脂肪との関係について、特にω3脂肪酸に焦点を当てて、褐色脂肪への作用とエネルギー消費・体脂肪・耐糖能・リポタンパク質代謝などとの関係を解析し、ω3脂肪酸の肥満・メタボ予防効果の新規メカニズムを明らかにすることを目的として以下の3点を実施する事としたが、それぞれについて一定の成果を得た。 1)健常者と肥満者をリクルートし、個々人の褐色脂肪活性をFDG-PET/CT により評価する。 2)脂肪酸組成の異なる食事を摂取してからのエネルギー消費量の変化を測定し、褐色脂肪活性との関係を解析して、褐色脂肪に対するω3脂肪酸の急性効果を明らかにする。 3)ω3脂肪酸を長期間に渡って摂取した後の褐色脂肪活性や体脂肪、耐糖能、リポタンパク質などの変化を調べ、被験者の食事調査の結果と併せて、褐色脂肪に対するω3 脂肪酸の慢性効果と代謝指標との関係を解明する。 1)については、8名の被験者の参加があり、FDG-PET/CTによる褐色脂肪活性の評価を行った。しかし、肥満被験者が予定数に満たない状況である。2)、3)については、今回1)を行った者の内、健常者で褐色脂肪活性の高い者と低い者各1名において、ω3脂肪酸含有食品を長期間摂取し、摂取前後のエネルギー消費を測定するパイロット的な試験を行い、摂取期間および摂取量の検討の必要性を確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FDG-PET/CTによる褐色脂肪の評価については、すでに我々が方法を確立しているので、研究計画を実施するにあたって特に支障はなかった。ただし、被験者については、同年代での肥満被験者のリクルートが難しく、次年度に持ち越すこととなった。 ω脂肪酸含有食品を長期摂取してのエネルギー消費量の測定については、パイロット試験を行ったところ、摂取期間・摂取量の検討が必要であることがわかった。
|
今後の研究の推進方策 |
ω3脂肪酸を長期間に渡って摂取した後の褐色脂肪活性や体脂肪、耐糖能、リポタンパク質などの変化を調べ、被験者の食事調査の結果と併せて、褐色脂肪に対するω3 脂肪酸の慢性効果と代謝指標との関係を解明する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
被験者数が予定人数に満たず、PET/CTにかかる費用や謝金の支払いが行われなかったため、 次年度への持ち越しとする。
|