• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

ゴマリグナン類の抗がん作用の機能解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K00874
研究機関東北医科薬科大学

研究代表者

藤村 務  東北医科薬科大学, 薬学部, 教授 (70245778)

研究分担者 蓬田 伸  東北医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (80230845)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワードゴマリグナン類 / セサミン / セサモール / 抗がん作用 / 細胞増殖抑制作用 / アポトーシス誘導 / 薬剤耐性 / 網羅的なタンパク質解析
研究実績の概要

「目的」:生活習慣病ともいわれるがんや循環器系疾患および老化の原因の一つとして、活性酸素種による生体内障害であることが知られている。ゴマに含まれるゴマリグナン類はがんの発生要因の一つである活性酸素を除去する作用(抗酸化作用)を有する生理活性物質として注目されているが、抗がん作用(細胞増殖抑制作用)の機能解明は不明なままである。がん感受性細胞にK562細胞、ドキソルビシン耐性がん細胞にK562/DOX細胞を用いてゴマリグナン類の細胞増殖抑制作用の機能解明を行う。
①マリグナン類の一種であるセサミン及びセサモールを処理することによりアポトーシス誘導が関与していることが分かった。このことから、アポトーシス誘導に関連している分子を同定する為に、質量分析計を用いて網羅的なタンパク質解析(SWATHTM Acquisition with MS/MS法(非標識法)及びiTRAQ法(標識法))を行った。K562細胞或いはK562/DOX細胞においてセサミン及びセサモールを処理することにより明らかに増減するタンパク質を同定することが出来た。
②マウスを用いたin vivo実験により、セサミン及びセサモール処理による担がんマウスへの延命効果や健常マウスへの影響(副作用など)を更に検討中である。血清中のメタボロミクス解析(解糖系、TCAサイクル、核酸代謝、尿素サイクル、脂肪酸代謝など)を行った結果、セサミン及びセサモールを処理することにより解糖系、TCAサイクルにおいて増減する化合物が存在した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

セサミン及びセサモール処理によるアポトーシス誘導に関連する分子の同定。
アポトーシス誘導が確認されたセサミン及びセサモール処理群とコントロール群(セサミン及びセサモー未処理群)のタンパク質抽出物を用いた。抽出したタンパク質をトリプシン消化後、タンパク質の同定と定量を行った。網羅的なプロテオミクス解析にA) SWATHTM Acquisition with MS/MS法(非標識法)及びB) iTRAQ法(標識法)を用いた。AとBの方法を用いることにより取りこぼしなく、セサミン及びセサモール処理によるアポトーシス誘導に関連する分子の同定と定量を行えた。その結果、K562細胞においてセサモミン処理により有意差をもって増加するタンパク質2種類、減少するタンパク質3種類、セサモール処理により増加するタンパク質3種類、減少するタンパク質1種類を同定・定量した。K562/DOX細胞においてはセサモミン処理により増加するタンパク質1種類、減少するタンパク質2種類、セサモール処理により増加するタンパク質1種類、減少するタンパク質2種類を同定・定量した結果、アポトーシス誘導に関連する分子であった。現在、同定した分子の機能解析及びin vivo実験において追加実験を行うために関連試薬(ELISAキット、抗体、活性測定用試薬等)の入手が必要になり時間を要している。研究目的を精緻に達成するために研究期間を延長する必要がある。研究計画全体としてやや遅れている。

今後の研究の推進方策

K562細胞及びK562/DOX細胞に対するセサミン及びセサモールのアポトーシス誘導による抗がん作用(細胞増殖抑制作用)の解明
セサミン及びセサモール処理による抗がん作用(細胞増殖抑制作用)はそれらによるアポトーシス誘導が関与することから、今回同定されたタンパク質の生物学的な機能の解明やパスウェイ解析を基にシグナル伝達経路を明らかにする。同定タンパク質がどの様な遺伝子と関連があるのかナレッジデータベースとして解析する。遺伝子、化合物、疾病、生物学的機能、パスウェイを検索し、詳細な働きやそれに関わる分子を抽出し、セサミン及びセサモール処理によるアポトーシス誘導のメカニズムを解明する。また、ウエスタンブロット法、免疫沈降法、ELISA法などにより、アポトーシス関連分子である活性化カスパーゼ分子と相互作用する分子であるかを明らかにする。更に、ELISA法の改良型である多項目同時測定システムを用いることによりアポトーシス関連分子を網羅的に定量し、セサミン及びセサモールの抗がん作用(細胞増殖抑制作用)に関与するレセプター、シグナル因子、制御因子などの分子を多角的に機能解明する。
メタボロミクス解析を進めることによりセサミン及びセサモール処理による抗がん作用(細胞増殖抑制作用)をin vivo実験により評価する。

次年度使用額が生じた理由

(理由)本研究で計上した研究費については、消耗品を主体とした経費が大部分を占める。1)ELISA法の系を構築するための関連試薬(ELISAキット、抗体、活性測定用試薬等)に80万円。2)電気泳動及び質量分析関連試に30万円。3)旅費については国内学会に年1~2回の発表分に10万円、論文の投稿に必要な英文校閲費、投稿費用等10万円を予定している。同定したアポトーシス誘導関連タンパク質の機能解析及びin vivo実験において追加実験を行うための関連試薬(ELISAキット、抗体、活性測定用試薬等)の入手に時間を要していたため研究期間を1年延長する為の研究費を計上した。
(使用計画)今年度はアポトーシス誘導関連タンパク質の機能解析及びin vivo実験の解析と再現性を確認する為、残りの予算を使用する。アポトーシス誘導に関連する分子(タンパク質)を、ウエスタンブロット法、免疫沈降法、ELISA法などにより相互作用を解析すする。ELISA法の改良型である多項目同時測定システムを用いることによりアポトーシス関連分子を網羅的に定量し、セサミン及びセサモールの抗がん作用(細胞増殖抑制作用)に関与するレセプター、シグナル因子、制御因子などの分子を多角的に解明しin vivo実験の解析を進める。その為、抗体や動物に関連する消耗品費代がかなり必要になることから前年度未使用分の130万円を使用する。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2019 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Oxidative Stress-Responsive Apoptosis Inducing Protein (ORAIP) Plays a Critical Role in Cerebral Ischemia/Reperfusion Injury2019

    • 著者名/発表者名
      Kishimoto M, Suenaga J, Takase H, Araki K, Yao T, Fujimura T, Murayama K, Okumura K, Ueno R, Shimizu N, Kawahara N, Yamamoto T, Seko Y.
    • 雑誌名

      Sci Rep.

      巻: 9(1) ページ: 13512

    • DOI

      10.1038/s41598-019-50073-8.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Lipopolysaccharide-induced Expansion of Histidine Decarboxylase-Expressing Ly6G + Myeloid Cells Identified by Exploiting Histidine Decarboxylase BAC-GFP Transgenic Mice2019

    • 著者名/発表者名
      Takai J, Ohtsu H, Sato A, Uemura S, Fujimura T, Yamamoto M, Moriguchi T.
    • 雑誌名

      Sci Rep.

      巻: 9(1) ページ: 15603

    • DOI

      10.1038/s41598-019-51716-6

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 含窒素複素環カルボン酸試薬を用いた誘導体化法の開発とステロイド分析への応用2019

    • 著者名/発表者名
      小松 祥子, 藤村 務
    • 学会等名
      平成30年度日本薬学会東北支部主催 第7回物理・分析系若手研究者セミナー
  • [学会発表] 環境応答性蛍光リガンドの開発とエストロゲン様化合物の活性測定への応用2019

    • 著者名/発表者名
      小松 祥子, 大野 賢一, 藤村 務
    • 学会等名
      日本薬学会第139年会
  • [学会発表] 白内障病態形成に関与するクリスタリン中Asp残基異性化の乳酸による触媒機構~計算化学的・生化学的検討2019

    • 著者名/発表者名
      真鍋 法義,佐々木 雅人,田中 大,大野 賢一,大野 詩歩,桐越 亮太,加藤 創,藤村 務,柴田 信之,高橋央宜
    • 学会等名
      日本薬学会第139年会
  • [学会発表] カイコ体液中のタンパク質解析-カイコを用いた創薬研究-2019

    • 著者名/発表者名
      橋本 恭奈、内田 龍児、藤村 務
    • 学会等名
      みちのく分析科学シンポジウム2019
  • [学会発表] がん細胞に対するゴマリグナン類の細胞増殖抑制作用2019

    • 著者名/発表者名
      鈴木 ゆめ、大野 賢一、 蓬田 伸、藤村 務
    • 学会等名
      みちのく分析科学シンポジウム2019
  • [学会発表] K562細胞におけるゴマリグナン類の抗腫瘍効果2019

    • 著者名/発表者名
      藤村 務、蓬田 伸
    • 学会等名
      第13回東北糖鎖研究会
  • [学会発表] カイコを用いた化合物のスクリーニング2019

    • 著者名/発表者名
      藤村 務,内田 龍児
    • 学会等名
      第92回日本生化学会大会
  • [学会発表] Multi-sequential surface plasmon resonance analysis of haptoglobin-lectin complex in sera of patients with malignant and benign prostate diseases2019

    • 著者名/発表者名
      Tsutomu Fujimura
    • 学会等名
      First Academia Sinica-Tohoku Medical and Pharmaceutical University (TMPU) Joint Symposium on Glycoscience
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] 臨床分析化学

    • URL

      http://www.tohoku-mpu.ac.jp/pharmacy/lab/lp_a04/

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi