研究課題/領域番号 |
17K00874
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
藤村 務 東北医科薬科大学, 薬学部, 教授 (70245778)
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研究分担者 |
蓬田 伸 東北医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (80230845)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ゴマリグナン類 / セサミン / セサモール / 抗がん作用 / 細胞増殖抑制作用 / アポトーシス誘導 / 薬剤耐性 / 網羅的なタンパク質解析 |
研究実績の概要 |
「目的」:生活習慣病ともいわれるがんや循環器系疾患および老化の原因の一つとして、活性酸素種による生体内障害であることが知られている。ゴマに含まれるゴマリグナン類はがんの発生要因の一つである活性酸素を除去する作用(抗酸化作用)を有する生理活性物質として注目されているが、抗がん作用(細胞増殖抑制作用)の機能解明は不明なままである。がん感受性細胞にK562細胞、ドキソルビシン耐性がん細胞にK562/DOX細胞を用いてゴマリグナン類の細胞増殖抑制作用の機能解明を行う。 ①細胞増殖抑制作用の機能解明を確認するために細胞死で最も重要であると位置づけられているアポトーシスの検討を行った。その結果、アポトーシスが起こる際に確認できるタンパク質、PARPとその切断産物Cleaved PARP、Caspase3とその切断産物Cleaved Caspase3、がん抑制遺伝子の一つとしても知られるp53の存在が確認できた。これらのことから、K562細胞およびK562/DOX細胞においてセサミン及びセサモールを添加したことによる細胞増殖抑制作用機構としてアポトーシスのシグナル伝達が起こり、アポトーシス誘導によって活性化されるCaspase3や最終産物であるPARPが産生されたと考えられた。更に、アポトーシスを誘導するがん抑制遺伝子の一つp53のタンパク質の存在を確認することができた。 LC/MS/MSによりセサミン及びセサモールを処理することにより明らかに増減するタンパク質を同定した。同定したタンパク質のウエスタンブロットを行った結果、細胞死の増加と共にシグナルの増強が確認できた。 ②不死化ヒト肝細胞を用いてセサミン及びセサモール処理の細胞毒性評価を評価した。未処理群と比較して細胞死や形態的変化などは見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
セサミン及びセサモールによるアポトーシス誘導に関連する分子の機能解明。 アポトーシス誘導が確認されたセサミン及びセサモール投与群とコントロール群(セサミン及びセサモール未処理群)のタンパク質抽出物を用いた。抽出したタンパク質をトリプシン消化後、タンパク質の同定と定量を行った。網羅的なプロテオミクス解析にA) SWATHTM Acquisition with MS/MS法(非標識法)及びB) iTRAQ法(標識法)を用いた。AとBの方法を用いることにより取りこぼしなく、セサミン及びセサモールによるアポトーシス誘導に関連する分子の同定と定量を行えた。その結果、K562細胞においてセサミン投与により有意差をもって増加するタンパク質2種類、減少するタンパク質3種類、セサモール投与により増加するタンパク質3種類、減少するタンパク質1種類を同定・定量した。K562/DOX細胞においてはセサミン投与により増加するタンパク質1種類、減少するタンパク質2種類、セサモール投与により増加するタンパク質1種類、減少するタンパク質2種類を同定・定量した。同定したタンパク質のウエスタンブロットを行った結果、細胞死の増加と共にシグナルの増強が確認できた。 現在、同定した分子の機能解析及びin vivo実験において追加実験を行うための関連試薬(ELISAキット、抗体、活性測定用試薬等)の入手が必要になり時間を要している。また、新型コロナウイルス感染症の拡大による研究計画が停滞している。研究目的を精緻に達成するために研究期間を延長する必要がある。研究計画全体として遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
K562細胞及びK562/DOX細胞に対するセサミン及びセサモールのアポトーシス誘導による抗がん作用(細胞増殖抑制作用)の解明 セサミン及びセサモール処理による抗がん作用(細胞増殖抑制作用)はそれらによるアポトーシス誘導が関与することから、今回同定されたタンパク質の生物学的な機能の解明やパスウェイ解析を基にシグナル伝達経路を明らかにする。同定タンパク質がどの様な遺伝子と関連があるのかナレッジデータベースとして解析する。遺伝子、化合物、疾病、生物学的機能、パスウェイを検索し、詳細な働きやそれに関わる分子を抽出し、セサミン及びセサモール処理によるアポトーシス誘導のメカニズムを解明する。また、ウエスタンブロット法、免疫沈降法、ELISA法などにより、アポトーシス関連分子である活性化カスパーゼ分子と相互作用する分子であるかを明らかにする。更に、ELISA法の改良型である多項目同時測定システムを用いることによりアポトーシス関連分子を網羅的に定量し、セサミン及びセサモールの抗がん作用(細胞増殖抑制作用)に関与するレセプター、シグナル因子、制御因子などの分子を多角的に機能解明する。 メタボロミクス解析を進めることによりセサミン及びセサモール処理による抗がん作用(細胞増殖抑制作用)をin vivo実験により評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)本研究を申請するにあたり計上した研究費については、消耗品を主体とした経費が大部分を占める。同定した分子の機能解析及びin vivo実験において追加実験を行うための関連試薬(ELISAキット、抗体、活性測定用試薬等)の入手が必要になり時間を要している。また、新型コロナウイルス感染症の拡大による研究計画が停滞している。アポトーシス誘導関連タンパク質の機能解析、in vivo実験の解析、アポトーシス誘導に関連する分子(タンパク質)を、ウエスタンブロット法、免疫沈降法、ELISA法など相互作用解析がまだ、途中であることから、以下の予算を計上した。 (使用計画)アポトーシス誘導関連タンパク質の機能解析及びin vivo実験の解析と再現性を確認する為、残りの予算を使用する。アポトーシス誘導に関連する分子(タンパク質)を、ウエスタンブロット法、免疫沈降法、ELISA法などにより相互作用を解析すする。ELISA法の改良型である多項目同時測定システムを用いることによりアポトーシス関連分子を網羅的に定量し、セサミン及びセサモールの抗がん作用(細胞増殖抑制作用)に関与するレセプター、シグナル因子、制御因子などの分子を多角的に解明するために、消耗品費代が必要になることから未使用分の約49万円(直接経費)を使用する。
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