研究課題
「目的」:生活習慣病ともいわれるがんや循環器系疾患および老化の原因の一つとして、活性酸素種による生体内障害であることが知られている。ゴマに含まれるゴマリグナン類はがんの発生要因の一つである活性酸素を除去する作用(抗酸化作用)を有する生理活性物質として注目されているが、抗がん作用(細胞増殖抑制作用)の機能解明は不明なままである。①ゴマリグナン類であるセサミン及びセサモールをK562細胞およびK562/DOX細胞に添加した結果、細胞増殖抑制作用が認められた。細胞増殖抑制作用の機能解明を確認するためにアポトーシス関連の検討を行った。その結果、アポトーシス誘導で見られるCleaved PARP、Cleaved Caspase3、がん抑制遺伝子の一つであるp53の存在が確認できた。これらのことから、シグナル伝達によりアポトーシスが誘導され細胞死が起きたと考えられた。更に、セサミン及びセサモールを処理することにより明らかに増減するタンパク質をLC/MS/MSにより同定した。②K562/DOX細胞においてはセサミンよりもセサモール添加の方がより強くアポトーシスを誘導し細胞増殖抑制作用を示した。③不死化ヒト肝細胞を用いてセサミン及びセサモール処理の細胞毒性評価を評価した。未処理群と比較して細胞死や形態的変化などは確認されなかった。④セサミン及びセサモールのin vivo 評価 :マウスを用いたin vivo 実験によりセサミン及びセサモール処理による担がんマウスへの延命効果や健常マウスへの影響(副作用など)を評価した。セサミン及びセサモールを健常マウスへ腹腔内投与した影響はなかった。しかしながらセサミン及びセサモールを担がんマウスへ腹腔内投与した実験において有意差をもって延命効果は認められなかった。ドラッグデリバリーなどによるがん組織に直接作用する投与方法を検討する必要性が示唆された。
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