研究課題/領域番号 |
17K00876
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研究機関 | 十文字学園女子大学 |
研究代表者 |
中村 禎子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 准教授 (60382438)
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研究分担者 |
奥 恒行 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 客員教授 (50010096)
中山 敏幸 産業医科大学, 医学部, 教授 (30284673)
田辺 賢一 名古屋女子大学, 家政学部, 講師 (60585727)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 腸内細菌 / 腸内細菌由来水素ガス / 疾病発症遅延 / 重症化遅延 / プレバイオティクス / 難消化吸収性糖質 |
研究実績の概要 |
生体の酸化は加齢に伴う疾病発症や促進老化の要因であるため、強いラジカル消去能を示す水素分子の応用が期待され、生体外からの水素ガス吸入や溶存溶液摂取を供給手段とする研究が進められている。一方、食物繊維などの難消化吸収性糖質を経口摂取すると、腸内細菌がそれを利用して水素ガスが産生される。申請者らは、この腸内細菌由来水素ガスに着目して研究を進めた結果、老化促進モデルマウスや過剰鉄投与による肝障害モデルラットを用いた実験では、難消化吸収性糖質含有飼料摂取により、疾病の予防、ならびに重症化遅延の作用のあることを明らかにした。本研究では、腸内細菌由来水素ガスが疾病の発症遅延へ及ぼす作用機序および相互関連性を検討し、さらに生体内における水素ガスの動態・消長と各組織における分布ついて詳細に検討する。 まず、平成29年度は、生活習慣病発症モデル動物を用いて、分子量などの物理化学的性質の異なる2種類の難消化吸収性糖質含有飼料で飼育した。飼育中に水素ガス体外排出濃度を測定し、飼育終了後に解剖し、組織病理学的観察、ならびに血液生化学指標の測定、酸化ストレスおよび炎症関連指標について測定した。その結果、いくつかの臓器において、酸化ストレスとの関連性が示唆され、水素ガス体外排出との関連性が示唆された。これらの遺伝子発現ならびにタンパク質発現に関しては、今後測定を継続する予定である。一方で、生活習慣病モデル動物では、生活習慣病に関連する健康指標に対して、腸内細菌由来水素ガスの影響が顕著ではないことが示唆された。今後は、疾患モデルの種類による差異、ならびに飼料に混合する難消化吸収性糖質の種類などについても検討する必要性があるものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展した理由は下記のとおりである。①本研究の申請にあたり、十分な予備実験を実施していたこと。②研究分担者、連携研究者の協力が得られたこと。③各担当ごとに専門性が発揮され、検討項目を適切に絞ることができたこと。④研究者間の連絡を密にとり、ディスカッションできたこと、以上が主な要因と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降についても研究計画を大きく変えないで進める予定である。今回の実験結果から、疾病のモデル動物についてはその種類を選定するかの検討が必要である。 また、2番目の実験である、生体における水素ガスの分布と消長について、具体的に実験を進める予定である。実験実施に当たっては、現在の研究組織の研究者に加え、循環器専門の医師からの助言を得て実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定のとおり予算を使用した。旅費や機器類をなるべく低価格で購入した結果、8万円程度の差異が生じた。次年度は機器類の購入予定はなく、実験によって調製したサンプルの測定を集中的に実施する。したがって、試薬類や消耗品等の物品費として使用する。
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