研究課題/領域番号 |
17K00885
|
研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
上岡 洋晴 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (30408661)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 機能性表示食品 / エビデンス / 研究方法論 / 臨床研究 |
研究実績の概要 |
本研究は、2015年4月1日から導入された「機能性表示食品制度」(本制度)において、有効性の根拠として届け出されたシステマティック・レビュー(SR)の研究方法論の適正性を評価するとともに、具体的な改善方法を明らかにすることを目的としている。 2016年7月7日に公表された検証事業の報告前のSRと報告後のSRにおいて、「報告の質」と「研究方法の質」が高まったかどうかをそれぞれPRISMAチェックリスト(PRISMA)とAMSTARチェックリスト(AMSTAR)によって評価するとともに、さらに不十分である点を明らかにする(研究1,2)。 また、PRISMAは、すべての分野におけるSRの一般的な(in general)報告すべき事項を挙げているが、本制度における特有の記述すべき事項のチェックリストはない。この特有のチェックリストをノミナル・グループ法という、多様な立場のパネリストが参画しての科学的なコンセンサス法を用いて開発する予定である(研究3)。 現時点においては、研究1と2において、2017年7月1日から2018年1月31日の期間に消費者庁ホームページに掲載された番号C48-C341の294件について適格基準に基づきスクリーニングした結果、対象の届出96件、対象SR104編を特定することができている。 研究の意義・重要性として、学術面においては、いわゆる健康食品の有効性を示すエビデンス構築の先駆的な研究となる。行政面においては、研究の成果はすべて消費者庁などの関係当局にも提言するため、直接的・間接的により制度の発展のために役立てられうる。届出者(企業)側においては、適正にSRを実施することを改めて啓発することになり、届け出されたSRの質はより向上していくことになる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
評価するための届出SRだが、2017年7月1日から2018年1月31日の期間に消費者庁ホームページに掲載された番号C48-C341の294件について適格基準に基づきスクリーニングした結果、対象の届出96件、対象SR104編を特定することができた。届出件数とSR数との差異は、ダブルあるいはトリプルクレイムのために、1つの届出の中で複数のSRを包括しているためである。 なお、適格基準はSRであることだが、除外の基準として、臨床試験、撤回された届出、前述の期間中に内容が同じSR、あるいはほとんど内容が同じSRが存在する場合には、消費者庁ホームページに最初に掲載された方を採用し、以降のSRは除外した。内容が同じ、あるいはほとんど同じSRが存在する理由は、ある製品のクレイムのために、ある最初にSRを実施した企業等のSRを他の企業等が使い回すためである。
|
今後の研究の推進方策 |
対象となるSRが特定できたので、次はレビューアによるPRISMAとAMSTARによる質評価を行う段階になった。概ね2018年7月下旬までに評価結果をまとめ、2018年度内にそれぞれ論文化する予定である。 なお、チェックリスト開発については、当初見込みのとおり、2018年9月頃より調整を開始し、2019年度にデリフィーコンセンサス法を用いた会議により完成させる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗により、2017年度内に研究会議が当初予定よりも1回少なかったことがあり、その分が2018年度に繰り越される。また、作業におけるアルバイト代が、この2018年度に集中することが予想される。具体的には、評価されたシートの照合作業や、2つ目の研究プロジェクトが途中で開始されることもあり、その事務作業に時間を要すると考えられる。
|