機能性表示食品として届出されたシステマティック・レビュー(SR)の前後比較を「PRISMA声明チェックリスト:機能性表示食品のための拡張版(PRISMA)」と「AMSTARチェックリスト(AMSTAR)」を用いて実施した。消費者庁の検証事業として、2015年4月1日から同年10月31日まで(7カ月間分)に同庁ホームページに掲載された51編と、その評価結果を「検証事業前SR」とした。そして、2017年7月1日から2018年1月31日まで(7カ月間分)に掲載された104編のSRを独自に評価し「検証事業後SR」とした。 「報告の質」を示すPRISMAを用いた前後比較の結果、2015年7月7日に公表された検証事業報告以降に向上しているとはいえず、記述すべき事項の一部では不備が有意に高まり、むしろ全体として質は低下傾向にあったことを明らかにした。 「研究の質」を示すAMSTARを用いた前後比較の結果、11点満点中、「検証事業前SR」が6.2±1.8点で、「検証事業後SR」が5.0±1.9点と有意(P<0.001)に質が低下していたことを明らかにした。 SRにおいて、新たにバージョンアップした質評価のツールとしての「AMSTAR2チェックリスト」が2017年9月に開発された。医薬品や医療機器だけでなく機能性表示食品における届出SRにおいても直接関係することから、このチェックリストの邦訳と使用における解説論文を作成した。さらには、SRのプロトコールのチェックリストである「PRISMA-P」の邦訳と使用における解説論文も作成した。 そして、機能性表示食品制度におけるSRに特化し、より報告の質を高めるためのPRISMAチェックリストの拡張版である「PRISMA FFC extension ver. 2」を開発した。
|