プロスタサイクリン(PGI2)欠損マウスにおける腎血管障害の発症機構は明らかではない。本研究ではPGI2合成酵素遺伝子改変マウスを用いて腎障害の発症時期と情報伝達経路を明らかにすることを目指した。また、培養脂肪細胞を用いて脂肪組織との関連性を検討した。PGI2欠損は生後28日までに腎組織の炎症性サイトカインの発現を上昇させることが明らかとなった。また、腎機能の維持にPGI2-PPAR-deltaを介した情報伝達系が重要である可能性が示唆された。炎症惹起による脂肪細胞の炎症性アディポサイトカインの発現上昇は、n-3系多価不飽和脂肪酸により抑制され、腎血管障害発症予防の可能性が予想された。
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