研究課題
本研究では骨格筋量、骨格筋機能及び骨格筋の合成に重要な分岐鎖アミノ酸(BCAA)と動脈硬化リスクとの関連について臨床的検討を行った。【研究1】人間ドック健診受診者男性4347名と女性1097名を対象に、BMI、腹囲、骨格筋率がそれぞれ基準値の範囲内か否かによって8群に分類し、動脈硬化リスク数(高血圧、脂質異常、高血糖の保有数)を比較検討した。その結果、男女ともにBMI及び腹囲が同程度である場合、骨格筋量の相対的な低値は動脈硬化リスクの増加と関連があることが示唆された。【研究2】人間ドック健診受診者77名を対象に、内臓脂肪蓄積の有無別に、骨格筋指数(SMI)、握力、骨格筋の質(握力/上肢骨格筋量)について検討した。その結果、内臓脂肪蓄積群は非蓄積群に比べて、SMI高値群の割合が有意に高く、骨格筋の質は有意に低値を認めたが握力とは関連が認められず、また、動脈硬化リスク数は、握力ではなく骨格筋の質と関連が認められた。【研究3】人間ドック健診受診者77名を対象に、男女別及び運動習慣の有無別にBCAAとインスリン抵抗性の相関を検討した。その結果、男女ともに身体活動の少ない群において血漿BCAA濃度とインスリン抵抗性に有意な正の相関が認められた。これらの研究により、動脈硬化リスクは、肥満や内臓脂肪蓄積だけでなく、骨格筋量及び骨格筋の質に関連があることが示唆された。また、血漿BCAA濃度とインスリン抵抗性には関連があるが、運動によりこの関連は改善する可能性が示唆された。骨格筋がその量や質の観点から動脈硬化リスクの評価指標となる可能性が示唆された。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
J Food Sci, Kyoto Women’s Univ
巻: 77 ページ: 17-21