数多くのビタミン輸送研究によって、それぞれのビタミンの吸収効率と動態は詳細に分かっている。しかし、ビタミンの膜輸送を担うタンパク質は、全体像が未だ分かっていない。未だに未解明なビタミン輸送の分子機構を明らかにすることを目的として、どのトランスポーターがどのビタミン及び分子種を輸送するのかを検討した。 a.細胞からのビタミン検出限界の検討~組織中のビタミンB12(コバラミン)、ビタミンE(アルファトコフェロール)、ビタミンK(メナキノン)をHPLCで検出する系は確立されているが、培養細胞及び培地での検出ができるかは不明なため、それを確認した。脂溶性ビタミンを添加した培養細胞及び培地から脂質抽出し、HPLCで検出することができた。また、ビタミンB12については、微生物法で培養細胞及び培地中の量を感度よく測定することができた。 b.ABCトランスポーター及びNPC1L1の発現~ABCトランスポーター発現ライブラリーとNPC1L1発現ベクターを用いて、HEK293細胞とCOS7細胞でGFP融合トランスポーターを発現させた。GFP抗体を用いたウェスタンブロッティングとGFP蛍光を利用して、発現を確認できた。 c.トランスポーター発現細胞でのビタミン輸送の測定~GFP融合ABCD4発現細胞をポジティブコントロールとして微生物法でビタミンB12輸送を測定したところ、ビタミンB12量の変動が見られたが、再現性が得られていないため、再現性良く測定できる条件を検討しているGFP融合ABCA1、GFP融合ABCG1発現細胞をポジティブコントロールとしてHPLCでビタミンE排出を測定したが、排出活性が見られなかった。ビタミンEはαTTPが細胞内の輸送に関わるため、αTTPとABCトランスポーターの共発現株を現在作製中である。NPC1L1発現細胞を用いて脂溶性ビタミン結合特性を明らかにした。
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