研究課題/領域番号 |
17K00894
|
研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
松尾 道憲 京都女子大学, 家政学部, 准教授 (00335308)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | ビタミン / 輸送 / トランスポーター |
研究実績の概要 |
数多くのビタミン輸送研究によって、それぞれのビタミンの吸収効率と動態は詳細に分かっている。しかし、ビタミンの膜輸送を担うタンパク質は、全体像が未だ分かっていない。未だに未解明なビタミン輸送の分子機構を明らかにすることを目的として、どのトランスポーターがどのビタミン及び分子種を輸送するのかを検討した。 a.トランスポーター発現細胞でのビタミン輸送の測定 ~ ビタミンB12の輸送実験は、細胞内のビタミンB12量が少ないため、そこからの輸送を測定するのは困難であった。そこで、培地中にビタミンB12を添加して細胞内濃度を高めた後に輸送を測定できるよう検討中である。αTTPとABCトランスポーターの共発現株を樹立し、HPLCでビタミンE量の測定を行った。ABCタンパク質を発現したBHK細胞にαTTPを発現させることによりビタミンEの排出量は上がったことから、ABCトランスポーターとαTTPによる協調的な輸送が示唆された。 b.精製NPC1L1タンパク質を用いたビタミン結合実験 ~ 過年度に発現に成功したNPC1L1のN末端ドメインをHisタグを利用して精製し、さらに精製標品を用いて脂溶性ビタミンとの結合能を検討した。ビタミンEとビタミンKのいずれもN末端ドメインNPC1L1の野生型で結合が高い傾向にあり、NPC1L1のN末端ドメインはステロールのみと特異的に結合するのではなく、他の脂溶性物質とも結合する可能性を示した。 c.精製ABCトランスポータータンパク質の調製 ~ NPC1L1と同様の手法でFreeStyle 293F細胞株にABCB1及びABCB6を安定的に発現させ、Hisタグを利用して精製を行った。精製標品を取得できたことから、リン脂質リポソームに再構成した後、ビタミン存在下でのATP加水分解活性の測定を検討している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トランスポーター発現細胞を用いたビタミン輸送の解析と精製NPC1L1を用いたビタミン結合実験をほぼ計画通り行えた。トランスポーターの発現細胞の細胞膜 を用いたATP加水分解活性測定はバックグラウンドが高かったために特異的な活性を測定できなかったが、トランスポーターを精製することにし、精製とリポソームへの再構成に成功したため。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度の成果を発展させ、当初計画通りに、精製トランスポータータンパク質のATP加水分解活性を利用したビタミン輸送トランスポーターの同定を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
試薬を節約して使用したため、22,885円と少しだけ次年度使用額が生じた。これは、より回数を重ねた実験で試薬代として使用する。
|