研究実績の概要 |
消化管の粘膜上皮には内分泌細胞(L細胞など)が散在し、管腔内に流入してきた食品成分(栄養素)を感知することで、様々なホルモンを血液中に分泌する。インスリンの合成促進作用、いわゆるインクレチン作用を持つGLP-1(Glucagon-like peptide-1)は、L細胞から分泌される。このL細胞が消化の過程で生じたペプチドを感知している可能性があることから、本研究では、内分泌細胞であるL細胞がどのようなメカニズムでペプチドを感知するのかを解明することを目的としている。NCI-H716 (L細胞)を用いて、プレプログルカゴンの発現量を指標に、GLP-1の発現制御を解析した。これまでに報告されているEPA(eicosapentaenoic acid)、DHA(docosahexaenoic acid)によるGLP-1誘導に関しては、半定量PCR法では確認できず、定量PCR法にて解析を行っている。トウモロコシの加水分解物ZeinHのアミノ酸のコンセンサス配列をもとにデータベース解析を行い、複数の候補となる合成ペプチドを用いて、効果を現在解析中である。また、ペプチド以外による新規活性化因子として、5,7,3’,4’-テトラメトキシフラボン、7,8, 3’,4’-テトラメトキシフラボン、タンゲレチン、ノビレチン、ヘプタメトキシフラボン等のフラボノイドによる効果も検討中である。また、骨芽細胞が分泌するリポカリン2によるGLP-1誘導の可能性に関しても解析を進めている。
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