研究課題/領域番号 |
17K00902
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研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
日野 真一郎 中村学園大学, 栄養科学部, 准教授 (00372699)
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研究分担者 |
溝田 知香 中村学園大学, 栄養科学部, 助手 (80783125)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 機能性ペプチド |
研究実績の概要 |
消化管の粘膜上皮には内分泌細胞(L細胞など)が散在し、管腔内に流入してきた食品成分(栄養素)を感知することで、様々なホルモンを血液中に分泌する。インスリンの合成促進作用、いわゆるインクレチン作用を持つGLP-1(Glucagon-like peptide-1)は、L細胞から分泌される。このL細胞が消化の過程で生じたペプチドを感知している可能性があることから、本研究では、内分泌細胞であるL細胞がどのようなメカニズムでペプチドを感知するのかを解明することを目的としている。NCI-H716 (L細胞)を用いて、プレプログルカゴンの発現量を指標に、GLP-1の発現制御を解析した。これまでに報告されているEPA(eicosapentaenoic acid)、DHA(docosahexaenoic acid)によるGLP-1誘導に関しては、定量PCR法にてGLP-1(pre-proglucagonのmRNA)の発現誘導を確認した。トウモロコシに含まれる難消化性タンパク質であるZeinのアミノ酸のコンセンサス配列をもとにデータベース解析を行い、複数の候補となる合成ペプチドを用いて効果を検討した。合成ペプチド1 (PYLPSIIASVCENPTLQPYRL、純度93.39%)、合成ペプチド2 (LQQQLLPFSQLATAYSQQQQFLPFNQL、純度82.76%)、合成ペプチド3 (YQQFAANPATLLQLQQLLTFVQLAL、純度95.1%) (ペプチド1,2,3は北海道システム・サイエンスにて合成)。それぞれのペプチドを50%EtOHで溶解し、1 h細胞を刺激した。合成ペプチドを用いた場合、ペプチド1及びペプチド3はZein同様にGLP-1(pre-proglucagonのmRNA)の発現を強く誘導した。肉加水分解物への応答の場合、ERK(extracellular signal-regulated kinase1/2)とp38MAPK(mitogen-activated protein kinases)のシグナルが関与することが報告されているが、Zeinおよび合成ペプチドでは、これらのタンパク質の活性化に影響を与えなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ZeinによるGLP-1誘導には、既存のカスケードとは異なる可能性を得た。そこで、Zeinおよび合成ペプチドで刺激した細胞のRNAを抽出し、マイクロアレイ法を用いて候補遺伝子の探索を行い、複数の候補遺伝子を得た。現在、これらの上流遺伝子および下流遺伝子の活性化等の影響を解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
NCI-H716 (L細胞)が浮遊細胞であるので、3次元培養などを用いて免疫染色を検討中である。研究計画にしたがって、ファーウエスタンブロット解析、プロテオーム解析の準備を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
ファーウエスタンブロット解析ならびにプロテオーム解析を今年度行う予定であったが、次年度に変更したため。
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