研究課題/領域番号 |
17K00903
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
馬場 良子 産業医科大学, 医学部, 講師 (90271436)
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研究分担者 |
國分 啓司 産業医科大学, 医学部, 助教 (00432740)
森本 景之 産業医科大学, 医学部, 教授 (30335806)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 小腸 / 回腸 / 乳飲期 / 吸収上皮細胞 / パネート細胞 / オルガノイド |
研究実績の概要 |
私たちはこれまでに、小腸吸収上皮細胞には時期的、部位的多様性があり、乳飲期小腸近位部の吸収上皮細胞が食物アレルギー発症に関わる可能性を示してきた。また、乳飲期の栄養をコントロールすることで、吸収上皮細胞の構造と機能に変化が生じる時期をある程度はシフトできることを報告している。時期特有の消化器疾患等が知られているにも拘らず、時間軸に着目した吸収上皮細胞の分化に関する報告はほとんど見られない。そこで本研究では、3次元培養(細胞組織体培養)法を用いてオルガノイドを作製することで、上皮以外の要素を排除し、吸収上皮細胞に時期的変化をもたらす機構を解明する。 今年度は、乳飲期から離乳期のC57BL/6Jマウスを用い、①形態学的解析と②遺伝子発現解析を行うことを目的とし、次の研究を行った。 ①生後0、7、14、21日齢および成熟マウスより回腸を採取し、形態学的解析を行った。その結果、生後14日齢で陰窩が形成されることが分かった。また、その時期に一致して、陰窩底部にLysozyme C陽性の顆粒を有する細胞が出現し、その細胞核はH3K27me3に対する抗体に対しても強陽性を示した。乳飲期の特徴を持つ吸収上皮細胞は生後14日齢までは観察されたが、21日齢、成熟期には認められなかった。 ②遺伝子発現解析の準備として、小腸の組織切片を用いて、レーザーマイクロダイセクションにより陰窩またはパネート細胞を切り出し、RNA抽出を試みた。切片の厚み、切片の種類等を工夫し、かなりの数の陰窩またはパネート細胞を切り出したにも拘らず、ほとんどRNAを得ることができなかった。そこで、別の方法(magnetic beadsによるラベル)を用いて単離する方法について検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
時期によるマウス小腸の形態および上皮細胞の変化について、形態学的に解析することができた。しかし、目的とする陰窩または上皮細胞について、レーザーマイクロダイセクションを用いた方法で切り出すことはできたものの、RNAはほとんど得ることはできなかった。そのため、それに代わる方法として、magnetic beadsを用いて細胞を標識して単離する方法を考えており、その準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、陰窩やパネート細胞単離の方法を工夫し、時期及び構造特異的に発現している遺伝子を解析する。また、特徴的時期のマウス回腸を用いてオルガノイドを作製・培養し、形態学的に解析し、相当する時期のマウス回腸と比較する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の1名について、予定していた出張(解剖学会参加)が直前に急遽キャンセルになったこと等により、次年度使用額が生じた。それ以外はおおむね予定していた通りである。
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