研究課題/領域番号 |
17K00908
|
研究機関 | 名古屋経済大学 |
研究代表者 |
相澤 恵美子 名古屋経済大学, 人間生活科学部管理栄養学科, 教授 (00639049)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | うつ病 / 腸内細菌 / Leaky gut |
研究実績の概要 |
大うつ病性障害患者は年々増加しているが、疾患原因や根本的な治療法の確立には未だ至っていない。近年腸内細菌叢構成の変化による自律神経系、HPA軸、炎症-免疫系への影響が明らかになりつつあり、大うつ病の新たな治療戦略として腸内細菌叢へのアプローチが着目されている。我々の先行研究において大うつ病患者の腸内細菌叢構成は健常者とは異なり、ビフィズス菌の有意な低下及び乳酸桿菌の低下傾向を認めた。この結果より視床下部-下垂体-副腎・軸(HPA軸)の変調や腸内細菌代謝産物による短鎖脂肪酸の分泌低下により腸管上皮細胞のバリア機能低下、Leaky gut syndrome(腸管壁浸漏症候群)及び炎症免疫系の異常が想定される。腸のバリア機能は、分子が小さい物質(500ダルトン)までは通すことができるが、これよりも大きな分子は通さないような構造になっている。腸管バリア機能の低下によるLeaky gut syndromeの発症は、細胞接着に関与するたんぱく質(zonula occludens 1)の発現低下やゲノム解析においてもcadherin1やclauden 1の発現量低下との関連が示唆されている。 我々の先行研究において、うつ病患者群は健常者群と比較して、ビフィズス菌の菌数が有意に低くく、1g当たりの便におけるビフィズス菌の数が109.53個以下であると大うつ病性障害を発症するリスクがおよそ3倍になることが示唆された。これらのことより、本研究では大うつ病患者は腸内細菌叢の構成が腸管バリア機能低下、炎症-免疫系の異常に関与するという仮説を検証する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Data収集状況は全部で59名である。健常者(男性=24人, 女性=23人)、うつ病(男性=6人, 女性=6人)患者のデータ収集が十分ではない。腸管浸漏試験が長時間であり、うつ症状の重い方からの協力が得られにくいことも要因と考えられるが、引き続き収集作業を進めていく。
|
今後の研究の推進方策 |
大うつ病患者の検査協力者を増やす。腸内細菌の解析結果、各種質問紙との関係、血液生化学検査との関連を収集した分について解析を進め、経過の分析を行うとともに、関連する論文及び学会などに参加し、必要な関連する情報収集を行っていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
検査協力者、特に患者群の検査が遅れ気味であることが要因である。翌年度は患者群の検査数を増やすように努力し、計画通り遂行できるようにしていきたい。
|