大鬱病性障害患者は年々増加しているが、疾患原因や根本的な治療法の確立には未だ至っていない。近年腸内細菌叢構成の変化による自律神経系、HPA 軸、炎症-免疫系への影響が明らかになりつつあり、大鬱病の新たな治療戦略として腸内細菌叢へのアプローチが着目されている。我々の 先行研究において大鬱病患者の腸内細菌叢構成は健常者とは異なり、ビフィズス菌の有意な低下 及び乳酸桿菌の低下傾向を認めた。この結果より視床下部-下垂体-副腎・軸(HPA 軸)の変調 や腸内細菌代謝産物による短鎖脂肪酸の分泌低下により腸管上皮細胞のバリア機能低下、Leaky gut syndrome(腸管壁浸漏症候群)及び炎症免疫系の異常が想定される。本研究では大鬱病患者は 腸内細菌叢の構成が腸管バリア機能低下、炎症-免疫系の異常に関与するという仮説を検証する。 現在、収集した糞便の多様性に関する検証及びLeaky gutの有無との関係を中心に分析を進めているところである。
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