研究課題/領域番号 |
17K00909
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター) |
研究代表者 |
佐藤 さくら 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), 病因・病態研究室, 室長 (90398272)
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研究分担者 |
海老澤 元宏 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), アレルギー性疾患研究部, 部長 (30338876)
柳田 紀之 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), 小児科, 医長 (40436150)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 食物アレルギー / 口腔アレルギー症候群 / アレルゲンコンポーネント |
研究実績の概要 |
本研究では多施設で小児期の花粉-食物アレルギー症候群 (PFAS)症例を集積し、臨床情報やアレルゲンコンポーネント解析結果からアナフィラキシーのリスク因子を明らかにし、摂取可能な調理形態のアンケート調査をもとに食事指導法を確立することを目的とする。 対象は18歳以下のPFAS患者とする。臨床情報、調理形態のアンケートはweb上のアンケートフォームに入力してもらう。採取した血清にてアレルゲンコンポーネントに対する特異的IgE抗体価を測定する。 2019年4月から2020年3月の登録症例数は186例で、昨年度と合わせて計323例を登録した。アレルゲンコンポーネントの測定まで終了した122例(登録時の年齢11歳(以下、中央値))は、PFAS診断時の年齢が9歳、67%にPFAS以外の食物アレルギー、78%にアレルギー性鼻炎を合併していた。検査結果は総IgE値904IU/L、抗原特異的IgE値(kU/L)はスギ75.5、シラカンバ12.0、ハンノキ16.6、ブタクサ3.9、カモガヤ3.8、モモ4.9、リンゴ5.2、キウイ1.1、メロン0.7、バナナ1.7、トマト1.7、大豆0.8で、PR-10ファミリーのアレルゲンコンポーネントに強く感作されていた。主な原因食物(重複あり)はキウイ63例、モモ55例、リンゴ49例、メロン42例、ナシ29例が上位5抗原であった。抗原毎の口腔粘膜症状以外の症状誘発率はリンゴ16%、キウイ14%、バナナ11%、モモ9%、メロン7%の順に高かった。登録症例の多くは生果物のみに症状を示し、加工食品の摂取で口腔粘膜症状以外の症状を呈したのは、リンゴが6例、バナナが1例、モモが1例、イチゴが1例、大豆が1例のみであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例登録開始から2年間で目標症例数の約半数の登録となっている。研究分担施設での症例登録が当初の想定より少ないことがその要因である。またコロナウイルス感染症の影響でアレルゲンコンポーネントの測定が一時的に中止されているため、登録症例のアレルゲンプロファイルの解析が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
小児期のPFASに関しては、今だ大規模な集積研究は報告されておらず、主な原因食物については一定の割合で全身症状を呈した症例が集積できている。このことから、研究目的を達するための必要最低限の症例は集積したと判断している。2020年度は臨床情報のデータ固定およびアレルゲンコンポーネントの測定を行い、研究成果の取りまとめを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
症例登録が予定より遅れたことに加え、コロナウイルス感染症の影響でアレルゲンコンポーネントの測定が中止となったため、次年度に登録症例のデータ固定および検体測定を実施することになったため。
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