研究実績の概要 |
地域女性在宅者を40~59歳7名,60~74歳27名,75歳以上25名の4分類し,フレイルおよび咬合支持の有無で区分した.調査項目は,身長,体重,BMI,AC ,TSF,FFM,FAT,握力,CC,MNA,フレイルの有無,食事摂取状況(かたさ),BI,FIM,MMSE ,SDS,舌圧,咬合支持の有無,パタカ測定,舌偏位・舌麻痺・舌苔・義歯の有無,衛生状態とした. その結果,年代・フレイルの有無別に比較すると,60歳以上でフレイルを発症し咬合支持がなくなる結果となった.フレイル無群の舌圧,握力,FIM,MMSE,パ,タ,カは,年代が上がるにつれ低下し,75歳以上で急激に低下した(p<0.05).MMSEの得点は、フレイル無群で75歳以上において有意な低い値(p<0.05)を示し,SDSは年代が上がるにつれ上昇する傾向にあった. さらに口腔内の機能をみると,パ,タ,カはフレイル無群で,年代が上がるにつれて低下する傾向にあり,特に75歳以上で急激に低下した(p<0.05).フレイル有群のタ,カもフレイル無群と同様,年代が上がると低下したのに対し,パのみが上昇した。 これは,タ,カは,加齢の影響を受けやすく,パは,フレイルによる影響は受けるものの加齢の影響は受けにくいと考えられた.次に,義歯の種類別でみると,加齢に伴い天然歯群,局部床義歯群,残根群の順に低下し,衛生状態も悪くなる傾向にあった.また,衛生状態が悪くなるにつれ舌圧も有意(p<0.05)に低下した.舌圧とパタカの相関解析関係は,舌圧が,パ,タ,カ,衛生状態と強い相関(p<0.01)を示した.さらに,食事のかたさを見ると,全年代で同程度かたさであり,舌圧,パ,カはかたさと相関(p<0.01),タは相関(p<0.05)を示した。このことから,かたさのある食事を摂ることが,口腔機能維持のために重要であると推察された.
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