研究課題
本研究では、フレイル予防のため本人や介護者が在宅で活用できる指標づくりを目的とし、40歳以上の地域在住者を対象に口腔機能と身体機機能・栄養状態との関連を調査した。なお、フレイル発症前の20代の状態とも比較した。対象者は新潟・山形県内の大学生と山形県内の地域在住者合計241名(50.29±27.96歳、男39名、女202名)であった。内訳は、20~29歳107名、40~59歳12名、60~74歳59名、75歳以上63名であった。対象者の身体機能・栄養状態(BMI・下腿周囲長・握力・体脂肪量等)、嚥下機能(重症度・藤島G)、口腔機能(舌圧・オーラルディアドコキネシス:OD、衛生状態、義歯・舌麻痺等の有無)、生活自立度、認知機能を調査し、判定表からフレイルの有無を判定した。その後対象者を年代で4群に分類し、さらに群ごとにフレイルの有無、functional群とnon-functional群で区分した。その結果、フレイルと判定された対象者はいずれも60歳以上であった。身体機能・栄養状態では下腿周囲長、握力、徐脂肪量が、口腔機能では舌圧、ODが、生活自立度、認知機能が、60歳以上の群で有意に低下した。また、フレイルの有無による比較では、60歳以上の群においてフレイル有群が無群に比較して下腿周囲長、握力、除脂肪量、藤島G、舌圧、OD、生活自立度、認知機能の有意な低下が認められた。さらに、咬合支持の有無による比較では、60歳以上で咬合支持無者が出現した。60~74歳と75歳以上を比較すると、舌圧、OD、下腿周囲長、認知機能が低い傾向にあった。舌圧はOD、衛生状態、舌苔の有無、握力、認知機能と正の相関が認められた。ODは、これらの項目に加え義歯の有無、嚥下機能とも正の相関が認められた。以上から、舌圧とODは、身体機能と関係が認められたが、栄養状態との関係を見つけることはできなかった。
2: おおむね順調に進展している
R2年度は、咬合支持無の対象者を増やし、舌圧・ODと栄養状態のBMI・下腿周囲長・体脂肪量等との関係を検討する予定であった。しかし、コロナvirusの拡大防止のため、対象者の協力が得られなかった。また、論文化に関しても、研究者本人の体調不良により、論文化を進めることができなかった。
R3年度は、予防接種完了9月以降後に咬合支持無の対象者を集め、調査をする予定である。その結果をもとに、地域在宅者用のフレイルフローチャートを完成し、論文化する予定である。
コロナvirus感染拡大防止のため、40歳以上地域在住者の咬合支持無しの被験者の同意がとれなかったため、最後の介入ができなかった。R3年度は、繰り越された79,052円を、研究協力者の歯科医師の診断料(被験者一人当たり1,000円×20名=20,000円)と歯科衛生士の調査協力金(1回あたり10,000円×4回=40,000円)に使用し、残りの19,052円は、論文投稿代の一部に当てる予定にある。
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