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2018 年度 実施状況報告書

食生活の西洋化は体内システイン量への影響を介して生体機能を左右するか?

研究課題

研究課題/領域番号 17K00925
研究機関神奈川県立保健福祉大学

研究代表者

山西 倫太郎  神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (30253206)

研究分担者 向井 友花  神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (60331211)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードシステイン代謝物 / 電気化学検出器 / マウス血清
研究実績の概要

本年度はマウス血清中の低分子システイン代謝物(以下Cys代謝物)を、平成29年度に本科学研究費で購入した電気化学検出器を組み入れた高速液体クロマトグラフィーにより定量することを目指した。電気化学検出器は、前処理としての化学修飾を施す必要なく還元性を根拠にCys代謝物を検出できるので簡便であり、ステップが少ない分、測定における正確性も期待できる。今回は生体内のCys代謝物としてシステイン・シスチン・ホモシステイン・ホモシスチン・グルタチオン・グルタチオンジスルフィド、および分析の内部標準物質としてN-アセチルシステインの計7種類のCys関連物質について分析を試みた。Cys代謝物中のフリーのSH基は、タンパク質中のSH基と結合していることが多いので、この結合を解離させる還元剤添加条件下での分析についても検討した。
(結果)Cys関連物質それぞれの市販品(試薬)を分析したところ、すべて分析可能であった。続いて、それらすべてを混合して分析した結果、ほぼ重ならないピークとして検出できる条件を得た。検量線も、それぞれの物質について相関係数0.99以上のよい結果を得た。次に、還元剤tris-(2-carboxymethl) phosphine(TCEP)添加条件下について検討したが、TCEPが検出すべき物質と重なって溶出されてしまい、しかもその影響は非常に強く、現況では適用不可であると判断した。最後に、除タンパクした非還元マウス血清について分析したところ、未同定の物質が数多く検出され、かつ分析したいCys代謝物それぞれとピークの重なるものの多いことが判明した。
(考察)電気化学分析器は、マウス血清中の各種低分子Cys代謝物の濃度測定には不適であると判断した。次善の策として、本研究においては蛍光測定法を適用し、低分子Cys代謝物の測定にあたるべきと判断するに至った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

予定していた測定系の適用が不適であることが判明したため、測定サンプルを得るべきマウスの摂食実験を展開することが出来なかった。一方で、並行して準備を進めていたこれまでの科研費研究で得られた知見をまとめた論文、すなわちβ-カロテンとレチノールが産生酵素グルタミン酸システインリガーゼの発現誘導を介して細胞内グルタチオン量を亢進させるがレチノイン酸にはこの効果が無いことを示した論文を、英文学術誌にて発表することができたので、研究成果の国際的レベルでの公表の面では進捗があった。

今後の研究の推進方策

マウス血清中の各種低分子Cys代謝物濃度を測定するためのalternativeな手立てとして、高速液体クロマトグラフィーを用いた蛍光測定法を適用しての研究継続について検討する。これは従来法とでもいうべき方法で、参考にできる研究報告は多い。蛍光色素でCys代謝物を修飾するステップや、ジスルフィドを形成している化合物に対しては還元処理をした後に修飾する必要がある等、手順が増えることになるが、それらの前処理についても、報告例は多い。
一方、分析対象の血清を採取するマウスの飼育であるが、過去にはマウスの餌についてアミノ酸・たんぱく質に関するものと脂肪添加量に関するものとで、分けて実験していたが、本年度はそれらを組み合わせた和食(高Cys比・低脂肪)と欧米化食(高Met比・高脂肪)との差を中心に検討したいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

(理由)血清中の各種低分子Cys代謝物への影響を分析するための電気化学検出器測定系の開発が、計画通りには進まなかったため、それを適用して分析する予定であったマウス飼育実験を展開することができなかった。それにより、マウスやその餌の購入にあてる予定の経費が残った。
(使用計画)次年度は、その新規測定系の開発を諦め、従来法を適用して各種低分子Cys代謝物を測定する予定なので、マウスやその餌の購入に充てる。元々、3年目に予定していた生体機能に関する影響の分析も並行して行いたいと考えているので、そのための予算と併せて使用する計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Retinol but not retinoic acid can enhance the glutathione level in a murine cultured macrophage cell line as well as β-carotene.2018

    • 著者名/発表者名
      Yuuka Mukai, Rintaro Yamanishi
    • 雑誌名

      Food Science and Nutrition

      巻: 6 ページ: 1650-1656

    • DOI

      10.1002/fsn3.726

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 特定のビタミンB群摂取条件下において実験食に添加される含硫アミノ酸と脂肪量の変化がマウス免疫系に及ぼす影響の検討2018

    • 著者名/発表者名
      山西倫太郎
    • 学会等名
      日本栄養・食糧学会

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公開日: 2019-12-27  

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