• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

食生活の西洋化は体内システイン量への影響を介して生体機能を左右するか?

研究課題

研究課題/領域番号 17K00925
研究機関神奈川県立保健福祉大学

研究代表者

山西 倫太郎  神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (30253206)

研究分担者 向井 友花  神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (60331211)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2023-03-31
キーワード単球・マクロファージ / グルタチオン / レチノール
研究実績の概要

前年度の今後の研究の推進方策等に記載したように、研究代表者の所属機関である大学では、学生に対して在宅での学習が推奨された。それにより、大学施設を利用してでしかできない実験を実施することは困難と認識されたため、実験研究を主体とする研究代表者の研究室への卒業研究配属を希望する学生は無かった。これにより、予定していたマウス飼育実験を実施することが不可能となったため、緊急措置として、マウス飼育よりも人手をセーブすることが出来、研究の中断・再開が容易な“培養細胞を使った研究”に研究手法を切り替えて研究を行った。『食生活の西洋化』の影響を論じようとする本来の目的とは多少異なるが、「抗原提示細胞(APC)内のグルタチオン(GSH)量に対する食品成分の影響を検討する」という大きな括りにおいては予定されていた研究と同じ目的を有する研究を実施した。影響を検討する食事因子については、培養細胞での実験という条件変化を鑑みてビタミンA(レチノール)に変更した。その結果、研究代表者らの過去の研究においてレチノールによるGSH増加効果を得ているマウスマクロファージ系のRAW264細胞だけでなく、同じくマウスマクロファージ系細胞であるJ774.1細胞やヒト単球系細胞であるTHP-1細胞においても、培地へのレチノール添加により細胞内GSH量が増加した。これらの結果により、レチノールによるGSH増加効果が、RAW264細胞だけの特殊な現象では無いことが明らかとなった。この研究について、多少データを補足した上でまとめ上げ論文化するために、研究期間の延長を申請した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

一年目はマウス摂食実験において、食餌たんぱく質量やビタミンB6量が脾臓APCに含まれるGSH量に正の相関的な影響を及ぼすことを示した。また、低たんぱく質かつ低ビタミンB6食にシステイン(Cys)を添加した場合、腎細胞においてGSH量は回復したが、Met添加の場合は逆に減少した。高脂肪食の比較的長期間の摂取の場合は、肝臓GSH量が低下した。二年目はマウス摂食実験により、和食の特徴を持つ飼料(高Cys、低脂肪)は、Cys供給量の増大を介して生体内酸化ストレスを軽減することを示唆した。一方、西洋化食の特徴を持つ飼料(高Met、高脂肪)は和食の特徴を持つ飼料と比較して、Cys供給量減少に起因する酸化ストレスの亢進、脂質代謝異常、糖代謝異常を引き起こす傾向にあることを示した。三年目は本研究課題のまとめとして、食生活がもたらす細胞内GSH量への干渉が、結果として細胞機能や生体の生理活性へ具体的にどのような影響をもたらすかを評価する研究を計画した。しかし、研究代表者の研究室に卒論生の配属がなく研究を推進することができなかったため、研究期間の延長を申請した。四年目には配属があり、ゼミ生に対して卒業研究に向けた練習実験による手技の向上をようやく終えたところへ、新型コロナ感染症パンデミックの波が押し寄せ、研究遂行が不可能な状況に陥ってしまい、研究自体の進捗はまったく無かった。よって、特例としての期間延長を申請した。五年目である2021年度は、5.欄に示したように研究内容を当初の計画から新型コロナ禍下でも実施可能な内容に変更し、培養細胞実験系において食事因子であるビタミンAが複数種類の単球・マクロファージ系細胞のGSH量を増加させる可能性を見出すことが出来たという状況である。申請時は3年で終わらせる予定であったが、以上のような理由で6年目に突入することになった。

今後の研究の推進方策

新型コロナパンデミックによる特例措置も含め、3年間研究期間を延長してもらったが、毎年繰り返し研究の準備等はしてきたので、助成金の目減りもある上、まだパンデミック自体が解消していない状況なので、当初の計画通りの実験を展開することは困難だと思われる。そこで、これまでの研究成果の中から、まとまりのつき易いものについて、研究成果を発表することに注力すべきであると考えている。具体的には、昨年度得られたビタミンA関連の実験成果について多少データを補足してまとめ上げ、国内学会・国際学会で発表することや英文専門ジャーナルに投稿することなどを計画している。

次年度使用額が生じた理由

<理由>新型コロナウイルス感染症の拡大による研究計画変更等に伴うもの。
<使用計画>残額を研究資金として充当し、8.今後の研究の推進方策 に示した研究を研究代表者が実施することにより遣い切る。

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi