研究課題/領域番号 |
17K00926
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研究機関 | 新潟県立大学 |
研究代表者 |
田村 朝子 新潟県立大学, 人間生活学部, 教授 (60240991)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ロコモティブシンドローム / 子どもロコモ / 口腔筋力 / 運動器機能 |
研究実績の概要 |
本研究は、就学前の幼児に好ましい生活習慣や食習慣を身につけ、運動器機能を維持・向上させ、子どもロコモを予防するための食教育と口腔機能トレーニングのプログラム開発を目的としている。 研究初年度にあたる平成29年度は、プログラム開発のための基礎データ収集および調査・測定項目の妥当性の検討を目的に研究を進めた。 まず、研究協力の同意の得られた保育園、こども園において、保護者から同意の得られた3~5歳児を対象として身体状況測定、運動器機能チェック、口腔機能測定、食嗜好・生活習慣調査、給食喫食量調査を行った。 その結果、運動器機能チェック4項目において、全てできた園児は、1項目以上できない項目があった園児に比較して身長、体重が大きい傾向にあり、除脂肪重量(筋肉量)が高くなった。筋力の指標とした握力に有意差はなかった。口腔機能および口腔筋力では、オーラルディアドコキネシスにおいて、運動器機能チェック全てできた園児の「パ」「タ」「カ」それぞれの発音回数ができない園児に比較して有意に高くなった。また舌圧も高くなった。食嗜好では、運動器機能チェックのできない項目のある園児には、きのこ類、肉類を苦手とするものが多く、この理由に噛みにくい、が多くあげられた。生活習慣では、全てできた園児の就寝時間および食事時間が有意に長かった。さらに、給食喫食量についても、全てできた園児が有意に多かった。したがって、運動器機能の良好な園児ほど、口腔筋力と体筋力が強く、体幹バランスがよく、よく寝てよく食べる傾向にあることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究協力いただくこども園からは、すぐにご了解が得られたが、保護者説明会の日程調整等に手間取り、研究開始が遅れたこと。さらに、保育園については、公立保育園にご協力いただいたが、行政機関による保育園の選定に非常に時間がかかり、研究開始が年度末になってしまった。このため、実態調査およびデータ集計が次年度にずれ込むこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の実態調査を平成30年度にも引き続き実施し、幼児の実態把握のためのデータをさらに増やすようにする。併せて、調査・測定項目に使用する一部の機器については、成人の使用実績のみのものがあるため、幼児の測定における確実性や有用性を確認する。 また、平成30年度に計画していた幼児に対する食教育や口腔機能トレーニングについて、どのような内容や項目が有用であるかを、平成29年度および平成30年度に調査・測定した結果を解析し、明らかにする。その上で、研究協力いただくこども園および保育園のスタッフや管理栄養士に説明し、研究の進め方や内容について協議し、食教育や口腔機能トレーニング等を実施する。その後、最終年度の平成31年度には、食教育や口腔機能トレーニングの効果を解析し、子どもロコモ予防のための実践プログラムとしてまとめる。
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