研究課題/領域番号 |
17K00930
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研究機関 | 福岡女子大学 |
研究代表者 |
中村 強 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (30581912)
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研究分担者 |
飯田 綾香 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助教 (70739169)
北垣 浩志 佐賀大学, 農学部, 教授 (70372208)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 水溶性セルロース / 非アルコール性脂肪肝炎 / STAMマウス / 腸内菌叢 / 栄養状態 / 成長抑制 |
研究実績の概要 |
本年度はSTAMマウスの肝炎症の抑制効果に及ぼす影響をより詳細に検討する目的で、腸内細菌叢に影響を及ぼす可能性のある水溶性セルロース(WSCA)を投与し、腸内菌叢を解析するとともに、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)発症との関連を評価することを目的とした。 生後2日目のC57BL/6J雄性マウスにストレプトゾトシンを皮下投与してSTAMマウスを作製した。6週齢から高脂肪食を基礎飼料として、3%(W/W)のWSCAを配合した飼料を与え(WSCA群)、8週齢にて解剖した。次いで、血清生化学検査および腸内菌叢解析を行った。比較対照群として、高脂肪食にセルロース(CE群)あるいは難消化性デキストリン(DE群)、オリゴ糖(OL群)を、それぞれ3%(W/W)となるように配合した飼料を与えた。 その結果、WSCA群の体重増加は低値を示したことから、このものはSTAMマウスの成長を抑制することが示唆された。しかし、WSCA群の血清中のたんぱく質濃度や脂質濃度は他群に比べ、大きく低値を示すことはなく、このことから栄養状態には大きな影響を与えないと判断されかつ、この理由は体脂肪量の低下に起因するこがと推察された。一方、WSCA群の血糖値や肝機能値は他群に比べて低値を示す傾向にあったことから、生活習慣病の予防、さらにはより進展した疾患であるNASH症状をも予防もしくは軽減することが期待された。また、WSCA群の腸内菌叢は他群と比べ、明らかに異なることが観察されたが、肝炎症との関連などについては現在検討中であり、今後、詳細に考察したい。 加えて、WSCAの成長抑制は栄養状態の抑制ではないことが本結果から予想され、また我々の先行研究(2016年度)やラットによる他施設での検討結果(静岡大)でも観察されている。しかし、その機序は不明であり、今後の検討課題としたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
WSCA投与によるNASH発症抑制効果は明確ではないこと、腸内菌叢との関連で、発症機序を検討する予定であるが、明確な機序解明には至っていないことが挙げられる。 今後、佐賀大学北垣先生を分担研究者として加え、腸内菌叢の詳細な検討と、腸内菌叢に大きく影響を与える可能性のある「麹セラミド」を投与サンプルとして用い、NASH発症と菌叢との関連を精査していく予定にしている。 菌叢との関連ではないが、本研究の関連として実施中であった分岐アミノ酸と肝炎症抑制との関連性については一定の成果が得られたことから、2報を論文化することができた。
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今後の研究の推進方策 |
先に示した通り、WSCA投与によるNASH発症抑制効果は明確ではないこと、腸内菌叢との関連で、発症機序を検討する予定であったが、明確な機序解明には至っていない。栄養状態の悪化とは考えられないものの、体重が減少することが気にかかる。以上のことから、動物投与に用いる飼料を大きく変更し、以下の通りに進めることとした。 ただし、本科研のタイトルである「腸内細菌叢と非アルコール性脂肪性肝炎の病態進展との関連についての基礎的検討」は変更せず、菌叢への影響がNASH発症に及ぼす影響や機序解明を今後とも目指すことにしている。 なお、先のとおり、佐賀大学北垣先生を分担研究者として加えることとした。また、腸内菌叢の詳細な検討と腸内菌叢に大きく影響を与える可能性のある「麹セラミド」を投与サンプルとして用い、これも先に示した通りである。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在、500千円ほどの金額が次年度使用額として残っている。次年度は最終年度にあたり、学会発表、論文発表などを予定しており、そのため出張費用、投稿費用として使用する予定にしている。
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