妊娠中の食事摂取量から主成分分析を用いた食事パターンの抽出およびその妥当性の検証を行った。食物摂取頻度調査と食事記録調査の結果から抽出された食事パターン「バランス型」「果物摂取型」の妥当性が検証された。本研究により、食事パターンの抽出と、食生活と妊婦の健康状態や児の出生アウトカムとの関係を明らかにする上で、FFQの有用性が示唆された。 国立成育医療研究センターで行われた母子コホートのデータを用いて、妊娠後期のn-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)摂取量と産後うつ症状との関連を検討した。本研究では、妊娠後期のn-3PUFA 摂取は産後うつ症状のリスクと関連していないことを明らかにした。 同母子コホートのデータを用いて、出産3年後の母親のメンタルヘルスと子どもの食事との関連に周囲のサポートが与える影響について検討した。友人や家族からのサポートは、子どもの身体的発達には影響しなかったが、気分障害のある母親が友人からのサポート受けた場合、子どもの野菜摂取量、果物摂取量が有意に高かった。さらに、ボンディング障害を抱える母親の子への気持ちが、子どもの食事摂取量に与える影響について検討した。赤ちゃんへの気持ち質問票により、ボンディング障害ありと分類された群では、子どもの野菜摂取量、果物摂取量が有意に低かった。これらの研究により、母親のメンタルヘルスは子どもの野菜・果実類の摂取量に影響を与えることが示唆された。核家族化が増加の一途をたどる今日では、家族のサポートのみならず、育児を共有するための友人を作るなどコミュニティーへの参加が母親の育児ストレスを和らげ、子の健やかな成長に寄与するものと思われる。
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