本研究は、食事の質と摂取時刻が歯周および全身の炎症状態や口腔内および腸内細菌叢に与える影響を明らかにすることを目的とした。研究1は、低脂肪高食物繊維食(バランス食)と高脂肪低食物繊維食をそれぞれ規則正しく1日3回摂取する場合と夕食を夜9時に摂取させる不規則なパターンを組み合わせて計4種類の試験食パターンを各1週間介入したものである。歯肉や全身の炎症状態は、食事介入による変化が認められなかったが、高脂肪で夜遅い夕食を摂取させた群は、バランス食を規則正しく摂取させた群に比べ、口腔内細菌叢に歯周病菌の1つであるPrevotella intermedia の割合が多い傾向にあり、腸内細菌叢ではBacteroidetes門の割合が約10ポイント増加した。研究2は、研究1の試験食パターンに機能性表示食品である8020ヨーグルトを1日1個摂取させた4種類の試験食と8020ヨーグルトを摂取しないバランス食を規則正しく食べる試験食パターンを加えた計5種類で各1週間の介入を行った。歯肉や全身の炎症状態に変化はなく、口腔内の細菌叢組成の結果においても、8020ヨーグルトの摂取有無や食事内容、摂取時刻の違いによる明らかな差はみられなかった。腸内細菌叢では、バランス食を規則正しく食べた群に比べ、8020ヨーグルトを追加したバランス食を規則正しく食べた群ではBacteroidetes門の割合が約10ポイント増加し、逆にFirmicutes門の割合は低くなった。研究1および2のいずれの研究においても、被験者の口腔内および腸内細菌叢組成の変化は個人差が大きく、食事介入による明らかな変化を捉えきれなかった。今後は、対象者の年齢や人数、介入期間の見直しを行い、歯周に与える食事の影響について検討していきたい。
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