研究課題/領域番号 |
17K00945
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
石井 香代子 福山大学, 生命工学部, 教授 (20462070)
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研究分担者 |
近藤 寛子 福山大学, 生命工学部, 助教 (20509252)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 新調理システム / 介護食 / 品質管理 |
研究実績の概要 |
食品の外観を保ったまま軟らかくすることができる凍結含浸法を用いた野菜の酵素反応及び酵素反応時間を変えても標準法と同様の結果が得られ、時間の短縮が可能であるかを知ることを目的とした。試料は、色差、塩分、糖分、pHを測定し、食味評価を行った。 キャベツは、温菜として食べる場合には30℃1時間、冷菜として食べる場合には40℃1時間で反応させることにより、標準法より酵素反応時間の短縮が可能だと考えられた。ホウレンソウは温菜として食べる場合には40℃2時間が適しているが、冷菜として食べる場合には、今回の実験では標準法と同様の結果が得られなかった。だが、ホウレンソウは加熱後、冷菜として使用することが多いので、40℃2時間が硬さを増すが温菜冷菜どちらにも適していることが推察された。塩分、糖分、pHに大きな違いは認められなかったが、色差は緑色野菜で反応温度によって違いが認められた。 [まとめ]今回は、酵素反応温度を10℃刻みに設定していたが5℃刻みにしたり、反応時間を延ばすなどすれば標準法と同様の結果が得られると推察された。温度を高くすると、時間の短縮が可能であった。 鶏むね肉と豚もも肉がテクスチャーにおいて、標準法に近い値を得ることができたので、酵素反応時間の短縮が可能であると考えられた。対照群の50℃は酵素反応が進みすぎて肉が分解されたため測定不能となった。鶏むね肉と豚もも肉は、標準法では十分に軟化が得られていないと思われた。対照群の中では40℃2時間が形を保ったまま柔らかくなったので適していると思われた。豚もも肉は鶏肉に比べて繊維が詰まって肉質が硬いため酵素が効きにくかった。酵素反応時間を長くする必要があると考えられた。鶏もも肉は30℃2時間が軟らかくなった。鶏肉は30℃の温度帯が適しているのではないかと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調理実験は順調に実施できている。当初年度計画の給食施設の調査・聞き取りについては今年度に実施することとし、現在準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画としては、今年度特定給食施設の新調理システム導入施設への調査を行い、導入に対する情報を収集する。現在、凍結含浸法を用いた調理法の検討を重ねており、新調理システムとの関連も含め、食品の基礎的実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
・当初予定したスチームコンベクションオーブンが、同様の仕様で予定価格150万円よりも価格が安価になった為。 ・差額分の使用計画としては、食品物性測定のための食材、酵素剤、加工した食品成分分析の薬剤(分析キット)などを予定している。 ・研究分担者の平成29年度の未使用については、平成30年度に使用予定(測定器等の調整)が計画されているためである。
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