研究実績の概要 |
本申請課題は、日本の複数地域において、幼児と保護者のナトリウム、カリウムの摂取量およびそれらの比を尿中排泄量と食事調査から推定し、(1)幼児の尿中排泄量に関連する因子の抽出、(2)母子間の尿中排泄量の関連と問題点の抽出、(3)多職種連携による食塩管理を主眼とした食育の検討を目的としている。令和元年度は、(3)について以下の2点を検討した。 1)研究協力幼稚園(保育者)、管理栄養士、研究者、ボランティアの連携により、幼児に対して食育および食育前後の個別インタビューを実施し、減塩への関心の変化について調査を行った。対象幼児181名についてボイスレコーダーに録音したインタビュー内容を文書に書き起こした結果、語の総数は食育前2,677語、食育後2,285語であった。インタビュー時に、イラスト選択による減塩意識の有無を判定した結果、食育を通して幼児の減塩意識が有意に改善した [食育前: 意識有26.5%, 意識無71.3% vs. 意識有79.0%, 意識無18.8%, p<0.001](判別がつかない者2.2%)。共起ネットワークで発言された語と語の関連を解析した結果、「たくさん」という語は、食育前後において共通した頻出語であったが、共起する語は全く異なっており、減塩への関心がない状態からある状態へと移行していく思考の変化が可視化された。 2)研究対象者に対して、尿中排泄量および食事調査の個別結果を送付し、今後の食生活改善に資する情報提供を行った。また、研究連携幼稚園において、保育者、管理栄養士、研究者間で、研究で得られた成果と課題を共有・ディスカッションを行い、幼稚園教育課程における「食」の位置づけを改めて考えた「新しい幼稚園教育課程」を提案し製本化した。
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