本研究では、(独)国立病院機構相模原病院小児科を受診中の食物アレルギー児の保護者らを対象として、食物アレルギー児の保育所等の選択の基準、入所を拒否された経験の有無、拒否された理由、集団給食での実際のアレルギー対応内容などの項目に関して調査を行い、その実態を明らかにすることを目的とした。 2018年度に調査を実施し、解析を行った結果を2019年6月14~16日に開催された第68回日本アレルギー学会学術大会ミニシンポジウム【食物アレルギー児を取り巻く社会的環境整備】にて「食物アレルギー児の保育所受け入れ状況等に関する実態調査」と題して発表を行った。 発表内容は、調査対象の食物アレルギー児の原因食物、アナフィラキシー既往の有無、エピペン処方の有無、入所を検討した施設、入所決定理由、入所を拒否された回数、入所を拒否された要因の検討、などとした。 本研究により、保育所等への入所を拒否された要因としては、アナフィラキシーの既往および除去食物数が関連していることが明らかになった。また、食物アレルギー児の保護者らは、保育所等での食物アレルギー対応に不安を抱え、保育所等での食物アレルギー対応を重要であると考えていることも明らかになった。 2019年度内に本研究の結果について論文執筆を開始したが、2019年度内に投稿することはできなかったため、2020年度早期に投稿を行う予定である。投稿先は、日本アレルギー学会誌を予定している。論文で研究内容を報告することにより、保育所等での食物アレルギー対応の向上を働きかけるとともに、医療機関では保育所等の入所前から、行政、保護者、保育所等と連携し、食物アレルギー児の保育所等入所をサポートする必要性を訴える。
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