研究課題/領域番号 |
17K00957
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
菊地 洋一 岩手大学, 教育学部, 教授 (50241493)
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研究分担者 |
久坂 哲也 岩手大学, 教育学部, 准教授 (00779944)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 物質学習 / 粒子概念 / 小学校 / 中学校 / 系統的学習 |
研究実績の概要 |
本研究は小・中学校の物質学習について,系統的に粒子概念を活用しながら物質学習の特徴を生かした学習の全体構想と,その構想の具体となる授業や教材を開発する実践的な研究である. 平成30年度は本研究の中間年度である.年度初めに研究メンバーの全体会合を開き,30年度の研究計画,担当等について協議を行った.その後,種々の具体的な課題について取り組んだ.具体的な内容と成果は以下の通りである. 1.小学校の物質学習については,これまでの研究において全体構想と具体的授業場面についての授業開発を行ってきた.その継続として実践的な研究を行い,粒子概念を系統的に活用する有効性について確認している.さらに,4年「もののあたたまり方」については,適切な教材や指導をめぐって活発な研究や議論が行われていることから授業改善に向けての教材研究に取り組んだ.その結果,我々の実験法により「もののあたたまり方」場面の指導について重要な知見が得られた.これを基に来年度も検討を続け,議論の収集に向けた提案を行うことが期待できる. 2.中学校では,個別的な場面としては1年「水溶液の性質」に取り組んだ.水溶液の基本的事項の理解は,小学5年および中学1年の学習を経ても不十分であるとの調査結果を受けて,粒子概念の活用とコロイド溶液の導入を組み込んだ新たな授業を開発した.授業実践を行い,良好な結果を得た.この取り組みは,中学校段階にコロイド溶液を積極的に取り入れる新たな提案として重要な意義を持つ.また,中学校の物質学習を俯瞰する視点から確かな物質観を得るための学習シートの開発に取り組んだ. 3.生徒が,自ら学ぶ意欲を高めながら確かな理解を目指すための授業方策として,メタ認知的支援のあり方について検討を行った.特に,科学的探究活動プロセスの重要な要素となる実験計画の立案について調査や授業実践研究を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
物質学習の全体構想および具体的な授業場面の教材開発・授業開発の両面において検討を行い,良好な成果を得ている.個別場面では,教育現場で問題が指摘されている学習場面を取り上げ,その改善に向けた具体的な提案を提示した.またメタ認知的支援による授業改善に向けた検討も着実に成果を挙げている.これらの成果の一部について多くの学会発表を行い公表した.全体的には,本研究はほぼ計画通りに順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に沿って研究を進める.平成29・30年度の研究成果を生かして具体的な授業研究と全体構想の両面で研究を進め,平成31年度は研究最終年として義務教育段階の物質学習構想をまとめ提案したい.その際,新たな形成的評価やメタ認知的支援のあり方についても検討を続け,学習者が自ら学ぶ意欲を高めながら確かな理解を目指すための授業方策を組み込みたいと考えている. 研究チーム主催によるシンポジウムを開催し,研究成果の公表と現場への還元を行う.また学術論文や学会発表を精力的に行い研究成果の公表に努める.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は,調査データ処理をアルバイト雇用ではなく研究チーム内で行い節約したことなどが挙げられる. 次年度は本研究の最終年として活発な授業実践を行う予定であり教材購入・開発の研究費を充実させたい.さらに研究の成果発信のため学会旅費やシンポジウムの開催費等を充実させたい.
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