研究課題/領域番号 |
17K00959
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
片平 克弘 筑波大学, 人間系, 教授 (70214327)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 理科教育 / LPs / カリキュラム開発 / 科学概念 / 科学的認識 |
研究実績の概要 |
近年におけるアメリカの科学教育の研究動向に目を向けると、「ラーニングプログレッションズ(Learning Progressions ;LPsと略記)」研究に関心が向けられている。LPsの定義は種々見受けられるものの、端的には「長いスパンを経て子どもたちが学び,探究するものとして追うことのできる事柄についての思考の,連続的でより精緻化された道筋を描写するもの」と定義されており、日本国内では「学習の発展過程」、「知的発達内容構成」といった訳語が当てられている。LPsは、科学概念についての学習者の発達的な理解特性を、学年と学習内容とのクロス表によって示したものである。このクロス表の中には、従来行われてきたミスコンセプション・素朴概念に関する研究や認知科学研究の知見が反映されている。 本年度は、LPsに関する最新の研究知見をもとに、主要な生物・地学概念についてのLPsを開発し、作成したLPsを基盤とする教授サイクルをもとに高等学校での実践に着手した。LPsと実践とが結びついた実証的研究をスタートさせたが、今後も、LPsの改善・改良を継続する予定である。 さらに、本年度は特に、中学生の実態をもとにした、物理概念理解が長期的に発達していくプロセスや、一人一人の生徒の認識の変容を捉えることができた。物理概念理解の研究では、diSessa(2018)が先行実施している「力と運動」に関する直感的な認識を描き出し、カリキュラム・指導・評価とが一体化した探究のプロセスの在り方について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究に関する化学分野と物理分野に関する基礎的データの収集を終えた。 LPs研究に関しては、世界各国で研究が展開し、基礎的な文献が増え続けており、今後も継続して収集する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
・概念理解の研究では、昨年度、分析対象としたAlonzo et al.(2009)の「力と運動」概念のLPsをより詳細に描き出し、本研究で明らかにした中学校のカリキュラム・指導・評価を一体化した探究のプロセスの在り方を再構想する。 ・LPs活用型教授法で用いる、高校生物・高校地学の学習課題や発問の開発を行う。 ・上記の学習課題や発問を用いた実践から得られたデータを分析し、LPs活用型教授法の改良を行う。
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