研究課題/領域番号 |
17K00969
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
青山 和裕 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (10400657)
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研究分担者 |
藤井 良宜 宮崎大学, 教育学部, 教授 (10218985)
小口 祐一 茨城大学, 教育学部, 教授 (70405877)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 統計教育 / 数学教育 / データサイエンス / カリキュラム開発 |
研究実績の概要 |
平成28,29年度に行われた学習指導要領改訂により小・中・高等学校の算数・数学科において一貫して統計教育充実の方向性が打ち出された。特に強調されているのは統計的な問題解決や意思決定と統計情報に対する批判的・多面的な考察である。この改訂の背景には,社会における統計科学の重要度の増加があり,ビッグデータやIoT,AI,ディープラーニングなど今後のデータサイエンスの需要増大を見越した施策と判断することができる。 今後求められる「知的情報創造力」育成のためのデータサイエンス教育のカリキュラム開発に向け,平成29年度は次のことがらに取り組んだ。まず第1に国内外の統計教育研究について総括し,児童・生徒の学習状況の評価に関する手法や試み,カリキュラム開発と試行事例などについて分類整理した。 第2に,オーストラリア,ニュージーランド,イギリス,シンガポール等の諸外国の統計教育カリキュラムに関する調査を行い,カリキュラムの構成枠組みや具体的な指導内容,指導系統等について整理した。教科・数学科における統計的な内容の比重はどの国も日本より相当に重くなっており,質・量ともに充実していることが明らかとなった。また,日本ではそれほど取り入れられていない探索的データ解析の理念に基づくカリキュラム構成も見られ,日本のカリキュラム改善に向けての示唆も得られた。 第3に,先端統計科学における学術的知見やデータサイエンスによるイノベーションの具体例などについて情報を収集し,知的情報創造力として具体的に求められる要素に関する知見を得た。 第4に,これまでの研究成果である統計教育カリキュラムに「知的情報創造力」の視点から改良を加え,データサイエンス教育カリキュラムの試作版について開発した。合わせて児童・生徒の実態を捉える評価枠組みについても試行版を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に計画していた統計教育研究に関する知見の整理,先端統計科学の研究成果や事例収集,諸外国の統計カリキュラムに関する調査,データサイエンス教育カリキュラムの試作版開発,児童・生徒に対する評価枠組みの試行版の開発を順調に終えることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
学習指導要領改訂を受け,現場の小・中・高等学校において,新課程に対応した統計教育の実践を試みる教員が相当数出てきている。研究代表者及び分担者は教員研修等で現場教員との接点も多くあり,それらの機会を活かしてデータサイエンス教育カリキュラムの実践に関して展開できるものと考えられる。現場教員の積極的な実践協力は当初見込んでいた以上であり,今後の研究推進に向けて大きなプラスとなることが予想される。 また,平成30年7月には4年に一度開催される大規模な統計教育の国際会議が京都で催されるため,世界中の統計教育研究者が最新の情報とともに来日する。日本側の受け入れ母体である日本統計学会統計教育委員会を通じて,研究代表者・分担者も運営に携わるため,今後の研究推進に向けて多くの研究知見や情報を得ることが期待できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
少額のため次年度に繰り越すことにより効果的に利用することとした。
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