研究課題/領域番号 |
17K00976
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
小澤 大成 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (60253241)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 問題解決能力 / 教材研究 / 理数科教育 / 授業研究 |
研究実績の概要 |
カメルーン国ヤウンデ市における授業研究プロジェクトのパイロット初等学校および中等学校を対象として,地域の学校・教師・子どもたちの置かれている現実に即し,コンピテンスベースアプローチの理念に基づいた問題解決能力を向上させる理数科教育プログラムが教材研究の手法を用いて開発されることを,現地教育省カウンターパートと共同で支援する。さらに,現地の文脈に即した子どもたちの問題解決能力を評価する評価問題を開発し,問題解決能力の指針を示すとともに,実施された理数科教育プログラムの妥当性及び適用性を検証する。 10月にカメルーン基礎教育省および中等教育省を訪問し, 国家視学官に本研究の実施内容を説明し,理解を求めるとともに協力と支援を要請した。彼らを通じてカメルーンの基礎教育および中等教育の理数科カリキュラム,教科書,初等教育修了試験問題・前期中等教育修了試験問題を収集し,カメルーンにおける問題解決能力は,日常の中という設定における状況問題を解決する能力としてとらえられていることがわかった。授業研究プロジェクトのパイロット校である初等学校および中等学校よりそれぞれ1校ずつを選択し,対象校において理科および数学の研究授業と研究協議を観察するとともに,子どもたちの問題解決能力を調査するための診断テストを実施した。特に中等学校において,授業の冒頭で状況問題が提示されており,日常生活における問題解決が強調されていることがわかった。ただしその状況問題は必ずしもその授業において学ぶべき概念と一致せず,冒頭に提示された授業の中で解決されなかった。つまり授業構成に問題があると考えられる。また診断テストの結果は,子どもたちの概念の応用や推論に課題があることを示唆するものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
10月にカメルーン基礎教育省および中等教育省を訪問し, 国家視学官に本研究の実施内容を説明し,理解を求めるとともに協力と支援を要請した。彼らを通じてカメルーンの基礎教育および中等教育の理数科カリキュラム,教科書,初等教育修了試験問題・前期中等教育修了試験問題を収集し,カメルーンにおける問題解決能力の特徴は,日常の中での状況問題を解決することに重点をおいていることがわかった。授業研究プロジェクトのパイロット校である初等学校および中等学校よりそれぞれ1校ずつ選択し,対象校において理科および数学の研究授業と研究協議を観察するとともに,子どもたちの問題解決能力を調査するための診断テストを実施した。特に中等学校において授業の冒頭で状況問題が提示されていることがわかった。ただしその状況問題は必ずしも授業の目的と一致せず,授業構成に問題があった。また診断テストの結果は,子どもたちの概念の応用や推論に課題があることを示唆するものであった。以上当初予定していた調査が実施できたため,おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は,カメルーン基礎教育省および中等教育省を訪問し,平成29年度の調査で明らかになったカメルーンの子どもたちの問題解決能力および理数科授業の指導法・教材の現状と課題を共有する。そしてカメルーンのカリキュラム・教科書・修了試験問題の分析をふまえ開発した,現地の文脈に沿った問題解決能力を評価するテスト問題を提示し,意見を聴取する。さらにパイロット校において実施するワークショップの計画を提示し,理解を得る。パイロット校において昨年度の調査結果を共有するとともに,課題を解決するための理数科プログラム作成を目的として,教材研究ワークショップを実施し,モデル授業案を作成し研究授業を実施する。開発したテスト問題を共有し,子どもたちに身に着けさせる問題解決能力の指針とする。また開発したテスト問題を実施しベースラインデータとする。 平成31年度は,教材研究ワークショップの効果を検証するため,再度パイロット校において授業研究会およびテストを実施し,授業内容及びテスト結果を分析することにより,理数科プログラムの効果を検証する
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