研究課題/領域番号 |
17K00980
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
土田 理 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 教授 (10217325)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 初中等教育(算数・数学,理科,情報) / 科学教育 / 問いの生成 |
研究実績の概要 |
本研究では,これまで蓄積してきた膨大な桜島画像データを基に,火山活動,気象現象に関する科学的な問いの生成(質問づくり)を促すことで地学領域に関する科学的思考・判断力を促進し,防災に対するハザードスキルを獲得できる理科教材の開発を目指している。 平成31年度は,研究項目1)「気象や火山活動についての問いの生成キーワードとキーイメージの抽出と分析」については,平成30年度に引き続き,中学校理科検定教科書第2分野「火山と地震」から「問い」の文章を抽出し,「問い」が発せられる場面設定の分析をおこなった。その結果,多くの教科書において「導入場面」における問いは全体の60%から70%を占め,「考察場面」や「実験場面」の問いは30%であることが明らかになった。このことより,教科書中の問いのみでは,実験・考察場面で仮設や予想を生徒自らの問いとして確認することは困難であり,教師からの問いかけや生徒のお互いの問いかけを積極的に行う必要があることが分かった。 研究項目2)「1)の成果をもとに,問いの生成授業試行案を作成し,附属学校等において試行と分析」については,2019年11月に本学部附属小学校において,5年生A区分単元において二つの実験の証拠を用いて根拠のある判断を行う授業を2クラスにおいて,卒業研究指導の一環として実施した。これは,2019年4月3日まで米国NARST年会に出席し意見交換を行う中で,本研究のテーマである「科学的な問い」が,米国次期スタンダードの中心テーマの「批判的思考(Critical Thinking)」と深い関係性を持つことが確認できたことから,小学生の「問い」と「根拠」に関する調査を行ったものである。その結果,二つの実験の証拠を元に根拠のある判断を行えた者は,全被験者80名のうち10%未満であり,残りの被験者は一つの証拠のみに偏った判断を行っていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
これまでの成果に基づき研究項目3)「2)の成果をフィードバックした問いの生成授業の改良版による研究授業の複数実施と分析」,研究項目「4)火山活動や気象現象について科学的な問いの生成を行う理科教材と授業方法の提言」を行うため,「科学的根拠に基づいて火山の噴火や地震を日頃の気象現象と比較する能力」に関する調査問題を作成し,6年生において小学校理科の全単元の履修が終了した段階で調査を行う計画を立てていた。しかし,新型コロナウィルス感染症対策のため2月末で休校となり,最後の調査が終了していない現状である。また2020年3月15日から17日に開催の米国NARST年会に正会員として参加し,これまでの調査結果や指導案についてworkshopにおいて意見交換を行う予定であったが,開催が中止となったため行うことができていない。 これらの状況を受けて,令和元年度が最終年度であったが,研究延長申請を行い,令和2年度にまとめを行う計画である。
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今後の研究の推進方策 |
研究延長申請を行った令和2年度において,感染症対策の状況から国際学会への参加が困難と思われるので,国内学会において意見交換と成果報告を行い,研究成果のまとめに加える予定である。 また,研究項目2)「1)の成果をもとに,問いの生成授業試行案を作成し,附属学校等において試行と分析」,研究項目3)「2)の成果をフィードバックした問いの生成授業の改良版による研究授業の複数実施と分析」,研究項目「4)火山活動や気象現象について科学的な問いの生成を行う理科教材と授業方法の提言」においては,日程調整の問題から中学校において十分な調査が実施できていないため,研究延長年度の中で可能な限り対象範囲を広げて考察を行う計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症対策のため,2020年3月15日から17日に開催の米国NARST年会に正会員として参加し,これまでの調査結果や指導案についてworkshopにおいて意見交換を行う予定であったが,開催が中止となったため行うことがでず継続延長申請を行ったため。 令和2年度においても感染症拡大防止対策のため海外における国際学会への参加が困難と予想されるため,延長申請を行った令和2年度においては国内学会において成果発表,意見交換を行い,研究成果のまとめを行う計画である。
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