研究課題/領域番号 |
17K00984
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
三石 初雄 帝京大学, 教職大学院, 教授 (10157547)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 初等学校 / 科学教育 / 生活科教育 / 国際比較研究 / 韓国 / 教育課程 |
研究実績の概要 |
本研究は,義務教育段階の理科/科学の授業研究に関する実証的国際比較研究を通して、近年の韓国における低学年教育課程ならびに総合的学習形態の授業の在り方とともに、そこでの教師に求められる力量形成に関する課題を整理し比較検討することによって、日本における教師教育改革への知見を得ることを目的としている。 そこでは、広義の意味での「個に応じた理科授業」改善の方途を見いだすことも目的としているが、“個”の 学習がどのような“共同的学習”環境の中で科学的な認識へと深化発展するかという学習過程研究と学習環境に関しての実証的研究として行い、かつ思考力・判断力・課題解決力等の高度な精神活動をどのように位置づけら れているかに関する考察も加える。このことは、日本の2020年全面実施の新学習指導要領との比較検討を加味して行うものである。 その際、近年大幅な教育課程改訂をしている点に留意して、その改訂の具体的な内容について明らかにするとともに、その実際を公立小学校訪問を通して具体的に把握・分析することを行う。そのような具体的授業場面の比較検討を通して、上記の研究目的を追求した。 具体的には、次の2つの点から研究を進めてきた。 1)「韓国におけるカリキュラム開発・評価に関する枠組み」に関しては、近年の韓国カリキュラム開発・評価に関する公的文書を基にカリキュラム編成原理とその枠組み設定の根拠、具体的な学習内容と方法に関する基本文献の収集と一部翻訳を行った。2)「今日の学校・授業に関する実態調査」では、小学校の低学年の授業の比較研究に焦点を当てるが、可能な限り中高学年における授業の実際との関係にも留意して、実態調査を進めた。ここでは、教科書の改訂により、授業内容と形態等に関しての教師側から見た変化状況に関する意見を聞き取り、整理することを一部進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「やや遅れている」ことの最大の理由は、韓国の教育課程改革が年度移行で行われており、ようやく初等学校の全学年での実施に移った段階であることによる。つまり、学校段階での具体的な改革は、教科書の改訂・発行の段階であり、授業レベルでの改革にまで具体化されていない状況であると予想されるからである。 したがって、現段階では、全国レベルの教育課程の改定内容と教科書内容を分析することに重点を置いてきた。このことは、研究の基礎作業であり、予定していたことではあるが、学校現場での改革動向から、分析視点・焦点を抽出・選定することも考えていたので、各学校での教育課程の改革の具体的な課題を抽出することに至っていない部分があるということである。
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今後の研究の推進方策 |
1)「韓国におけるカリキュラム開発・評価に関する枠組み」に関しては、とりわけ、小学校段階における生活科の大幅な変更部分と総合的学習形態(「 裁量的活動」)部分に焦点を当てる。ここでは、教科書の改訂がどのような考え方により実施され、典型的な教材・単元がどのようなものなのかを、具体的に明らかにする。 2)「今日の学校・授業に関する実態調査」では、小学校の低学年の授業の比較研究に焦点を当てるが、可能な限り中高学年における授業の実際との関係にも留意して、実態調査を行う。まずは、具体的な比較分析する学習内容や授業場面、分析方法等々に関しての日韓両者での共通分析視点を明確化するとともに、授業分析方法論の精査・試行を行い、授業研究調査地域並びに学校・授業に関する実態や授業・学校・地域の教育・文化状況についての背景調査を行う。その後、韓国における実際の授業を参観し、その年間カリキュラムと単元、授業案や教科書の使用状況等、実際の教育活動に関しての調査(聞き取り調査を含む)を行う。ここでは、教科書の改訂により、授業内容と形態等に関しての教師側から見た変化状況に関する意見を聞き取り、整理する。
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次年度使用額が生じた理由 |
韓国の教育課程改革が年度移行で行われており、ようやく初等学校の全学年での実施に移った段階であることによる。つまり、学校段階での具体的な改革は、教科書の改訂・発行の段階であり、授業レベルでの改革にまで具体化されていない状況である。もう一つは、中国での日韓中での比較研究の経費が、今回生じなかったために減額となっている。 したがって、昨年度の韓国での調査、つまり、学校訪問による聞き取り調査ならびに授業の実際的な調査のための研究旅費が大幅に未使用であったこと、国際比較研究のための訪問旅費の支出がなかったことが大きな原因である。 現段階では、全国レベルの教育課程の改定内容と教科書内容を分析することに重点を置いて研究を進めた。このことは、研究の基礎作業であり、予定していたことではあるが、学校現場での改革動向から、分析視点・焦点を抽出・選定することも考えていたので、各学校での教育課程の改革の具体的な課題、聞き取り調査を抽出することに至っていない部分があるということである。
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