問題解決(数学的活動)に関して,静岡県の先生方とやりとりをしたり授業参観して分かったことは,問題解決(数学的活動)は現実にはほとんど実現できていないと云う事であった。これは東京での問題意識と共通する。そこで,問題解決を通した数学学習についてのアンケート調査を行い,課題や改善策について分析した。 分析結果に基づいて,問題の理解,解決計画及び振り返りに焦点を当てた授業展開を新たに提案した。同時に,問題解決を妨げている要因として,生徒理解が不十分なこと,教材研究が不十分なことが見えてきた。生徒理解については,漠然とクラス単位で生徒を捉えるのではなく,クラスの状況同時に個々の生徒がどんなときにどんなことを言うのか,どういう反応を示すのかについてよく把握しておく必要がある。これは授業設計だけでなく,授業中の発問にも大きく関わると言える。また,問題解決(数学的活動)で取り上げる問題に対しては,先ず教師自らが探求に没頭する必要を感じた。同じ問題に対して,いろいろな視点からアプローチしたか否かによって,生徒の発言の採り上げ方や生徒のアイデアの重視の仕方が変わってしまう。 そこで,特に探求をテーマに教材研究することについて,報告書には8つの事例を載せた。最後に,提案させてもらった「問題の理解,解決計画及び振り返りに焦点を当てた授業」のための授業設計チャートとその記入例をつけた。 今後,日本数学教育学会秋期大会や夏の全国大会にて研究成果を報告する予定である。
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