初等中等教育において求められている早期プログラミング教育に対し,晴眼盲弱を区別しないという条件下で,プログラミング対象のロボット教材や児童生徒のプログラム(アルゴリズム)学習を支援するための要素技術を開発し,一体のシステムとして完成させ,その有効性を実証実験により確認した.実証実験では,視覚特別支援学校(盲学校)だけでなく,地方自治体,教育委員会などの他機関とも協力して行い,研究課題の「短時間修得・他科目援用可能」に係る実験データを収集した. 今最終年度では,昨年度までに開発した,汎用マイコンボードおよびキー10個のみのキーパッドを備えた移動ロボット教材の再検証と機能の拡張,および情報公開とを行った.昨年度までの教材の実証実験の対象者は,盲学校を除くと特定のイベント(モノづくり)の来訪者であった.今年度は,より一般的な小学生を対象として実証実験を複数回実施し,プログラミングを短時間習得可能という特徴を再度,確認した.また,移動ロボット以外の教具への拡張が期待されていることが明らかになり,視覚障害にとって,より認知が困難なドローンへの適用を検討した.これらは,一般展示会や学会においてその詳細を発表した. 以上により,当初の目標であった,(1)児童生徒のプログラム(アルゴリズム)の学習を支援するための要素技術の開発,(2)よりユニバーサルデザインが求められる盲学校での実験授業の実施,(3)プログラムの3要素(逐次処理,繰返し処理,条件判断)を短時間かつ身の周りの様々なものと関連付けられる教材作成の課題抽出とその解決.のそれぞれを達成することができた.
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