研究課題/領域番号 |
17K00993
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研究機関 | 福岡工業大学短期大学部 |
研究代表者 |
石塚 丈晴 福岡工業大学短期大学部, 情報メディア学科, 教授 (70293602)
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研究分担者 |
堀田 龍也 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (50247508)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 小学校 / プログラミング / カリキュラム / 評価 |
研究実績の概要 |
本年度は、小学校におけるプログラミング学習のカリキュラムの作成と教材の開発を行い、小学校における試行実験を行う予定であった。情報科学・情報工学の視点からの理想的な学習内容、学習方法及び評価点については完成した。しかし、これらを学校側の視点から見た場合、受け入れ可能であるのか、実現可能であるのかを試行実験などの結果を検討したうえで提案しなければ、実際に小学校の授業としての試行実験をお願いすることは難しいと判断した。そこで、本年度は昨年度から実施している本研究で提案している学習内容が小学校の各学年で実施可能かどうかの試行実験の追加実施を行い、それらの結果を小学校の教員に提示して、意見聴取をすることに重点を置いて研究を行った。 試行実験として、小学校1・2年生を対象として3回、小学校3・4年生を対象として1回、小学校5・6年生を対象として1回実施した。これらの結果から学年区分の見直しが必要であること、学年区分ごとに適した端末やプログラミング言語などについての知見を得ることができた。更にこれらの知見に対して、12月から2月にかけて、小学校のプログラミングに関する研究授業に訪問した際に聞き取り調査を行ったり、教員向けの研修会などで試行実験についての結果を発表したりすることで、参加者からの感想や意見を収集することを行った。 その結果、学修成果の評価方法については、学校教員からの共感を概ね得ることができた。また、カリキュラムについても、学年ごとの学習目標や学習内容について、意見を聴取した結果、学校のICT環境の整備に応じたカリキュラムモデルの提示と、学校でのICT環境の整備目標との関係についても具体的に示す必要性が分かり、一覧表の制作を年度末から実施し、次年度初めにも完成する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は研究協力者による小学校の特定のクラスでの実証実験を行う予定であったが、研究実績の概要でも述べた通り、より小学校での実施を受け入れやすくするために、学校教員からの意見聴取なども実施して、より現実的なカリキュラムの作成を目指し、小学校以下外の場での試行実験を行い、その結果をもって全体の完成度を上げることに重点を置いた。試行実験は、予定通り実施したが、更なる試行実験の必要性も判明した。しかし、試行実験は、対象となる児童の募集、場所、教材等の確保に時間がかかるため、次年度以降も引き続き実施する予定である。 小学校での実証実験については、本年度の試行実験を基にした学校教員への意見聴取などの結果から、より現実的なカリキュラムを開発することができたため、次年度には特定のクラスによる実証実験に加えて、学校全体での取り組みとして受け入れてもらえる小学校を確保することができた。また更に、その小学校とは2020年度以降に予定していた、より高度な内容のカリキュラムについても、前倒しして開発及び実証実験を実施することで計画を進めている。 したがって、本年度の計画に対する進捗はやや遅れているものの、次年度では一部前倒しで研究計画を実施する予定であり、次年度では全体として予定通りの進捗となることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
小学校以外の場での試行実験に対しては、本年度までの結果から更に実験を行うことで確認が必要な学習内容や、学修教材、教育方法があることが判明したため、引き続き小学校以外の場での試行実験を実施する。これにより、全体の研究成果の向上を図る。 教材については、試作品は完成したため、これらを次年度の試行実験・実証実験で使用して、次年度中の完成を目指す。 小学校での実証実験としては、特定のクラスで実施するものとして3校、学校全体として実施するものとして1校を確保したため、今年度までの成果を基に、実証実験を開始し、学校教員と協力して分析・評価までを実施する。 本年度は、試作したカリキュラムや試行実験の結果については、学校教員からの意見聴取を最重要視したため、学術論文や学会等での成果発表は行わず、学校での研究発表や教員研修の場での発表、書籍による成果発表などに重点を置いてきた。しかし、学術分野での発表も重要であるため、次年度は学術雑誌や国内外での学会において、研究成果を発表し、学術的な評価を得るようにするとともに、Webサイトなどを通じた学校教員向け情報発信を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額で使用する予定であったものは、小学校での実証実験の際に必要な教材費用である。実証実験は本年度ではなく、次年度に実施することとなったため、次年度には確実に使用する予定である。
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