研究課題/領域番号 |
17K00993
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研究機関 | 福岡工業大学短期大学部 |
研究代表者 |
石塚 丈晴 福岡工業大学短期大学部, 情報メディア学科, 教授 (70293602)
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研究分担者 |
堀田 龍也 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (50247508)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 小学校プログラミング / プログラミング的思考 / カリキュラム / 教材 |
研究実績の概要 |
本年度は、1)小学校での従来の教科におけるプログラミング的思考を学ぶ学習活動の調査、2)小学校低中学年でのプログラミング的思考を身に付けるための教材の実証実験。3)小学校中高学年におけるプログラミングスキルを身に付けるための教材の開発及び実証実験、の3点を中心に研究を進めた。 1)小学校での従来の教科におけるプログラミング的思考を学ぶ学習活動の調査については、2020年度発行の小学校の教科書を入手し、データベースの構築を行った。制度上小学校の教科書を全て入手できるのは9月以降であるため、4月より準備作業は進めたが、本格的な調査は10月以降に行った。本年度は実証実験に協力していただける小学校で採用されている教科書についての調査を中心に行った。 2)小学校低中学年でのプログラミング的思考を身に付けるための教材の実証実験については、昨年度の評価から改良を進め、10月から複数の協力校で実証実験を行う予定であった。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言のため、小学校での実験ができなくなった。従って、緊急事態宣言の直前に実施できた高学年の児童を対象とした評価の分析を行った。併せて、緊急事態宣言かでも実施可能な方策について検討し、教材の追加開発の検討・設計を行った。 3)小学校中高学年におけるプログラミングスキルを身に付けるための教材の開発及び実証実験については、4月から体系的な実証実験を小学校で予定していたが、本年度は外部人材による小学校での取り組みは中止となった。そこで、11月から別の小学校で授業の一環としての実施を計画していたが、これも緊急事態宣言により中止となった。そこで、実証実験は来年度に再挑戦するとして、本年度は教材の内容の評価と改訂を中心に研究を進めた。 4)カリキュラムに関してはGIGAスクールに対応して修正を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は2020年度から小学校に導入されるプログラミング教育を対象としているため、2019年度及び2020年度は小学校現場における実証実験を中心に計画した。しかし、2020年初頭(2019年度終盤)から、感染が拡大した新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、小学校での実証実験が軒並み中止となり、昨年度の報告書では2020年度に実施を再計画する旨を報告した。 しかし、2020年度も当初から5月までは小学校も休校となり、学校再開後も2020年度前半は休校時の対応で小学校も実証実験の受け入れどころではなく、また、研究代表者及び分担者も本務における教育業務の負担の増大に伴い、非常に限られた時間しか本研究に割くことはできなかった。2020年度夏頃からは徐々に本研究に割く時間もとれるようになってきたため、2020年度後半での小学校での実証実験に向け準備を進めてきたが、2020年後半から実証実験を予定していた福岡市でも再度感染拡大が始まり、ごく一部は実践できたものの、ほとんどは中止となった。 このような状況の中で、2020年度における小学校での実証実験については、ほとんどできなかったが、小学校以外での小学生向けの実践機会を設けて研究を継続し、このような状況下でも対応可能な形式での対応をすすめ、2021年度での実践を計画している。 また、完成年度を迎えたイングランドでのコンピューティングの調査については、同様の理由から現地での調査は断念した。代わりに文献調査を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は本研究の最終年度であるため、本研究の最終的な成果をまとめ及び学会・論文などでの報告を主として行うが、新型コロナウィルスの感染拡大の影響で前年度からの積み残してきた実証実験の実施も併せて計画する。 1)小学校での従来の教科におけるプログラミング的思考を学ぶ学習活動の調査については、全教科書について完了させる。これに加えて、中学校での学習との接続についてを考慮するために、中学校の教科書調査も実施する。 2)小学校低中学年でのプログラミング的思考を身に付けるための教材の実証実験については、これまでは研究代表者が主となって小学校教員に研修を行ったり、研究代表者がゲスト教員として実際に小学校で授業を行う形式としてきたが、授業で使用できる動画コンテンツを制作し、オンラインでの研修でも対応できるようにして進めていくこととする。 3)小学校中高学年におけるプログラミングスキルを身に付けるための教材の開発及び実証実験については、小学校以外での小学生を対象とした講座として5回程度を計画し、この実践結果の評価により教材の完成度を高めることを優先課題とし、小学校での実証実験は可能であれば実施を行うこととする。 4)イングランドでのコンピューティングの調査については、2021年度も現地での調査は困難であると考えられる。従って、文献調査などを基本に進めていく。また、オンライン形式での国際会議への参加により、最新情報を収集して、最終報告に反映させていくこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた最大の理由は、新型コロナウィルス感染拡大に伴う、現地調査、学会発表、研究打ち合わせに使用する予定であった旅費の執行ができなかったためである。一方で、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、小学校での実証実験の方式を変更する必要が生じ、そのために新たに動画コンテンツの制作の必要が生じており、この制作経費として次年度使用額を使用することで、本研究を遂行する。
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備考 |
福岡県教育委員会広報誌「教育福岡」令和3年2・3月号(No.665)pp.1-2に「全ての子供たちのためのプログラミング教育」を寄稿
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