研究課題/領域番号 |
17K00994
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研究機関 | 小山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
伊澤 悟 小山工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (00232223)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 工学教育 / 教材開発 |
研究実績の概要 |
高専や大学工学部の機械系科目において力学科目は重要な科目であるが、試験中心の科目達成評価が進んだ結果、数学化した力学教育になっている傾向があるため、学習者のモチベーションや工学的なセンスの向上が必ずしも図られていない。ここでは、材料力学の教育効果を具体化するための教材として、学習内容に連動した実験型教材を開発し、平行して演習力養成を図るための記述式演習ノート、予習・復習を前提としたeラーニング教材の開発を行う。 本研究を通じた、座学科目への効果的な教材の組込みと演習力、応用力養成を考慮した新しい演習教育システムについて提案することの学術的意義は非常に大きい。現状の教育システムの長所、短所を顕在化するアプローチ手法は、他の科学教育の教育スタイルの模範としても、発展性が広い。合わせて、教材の利用と教材の履修および学習単元と教育目標達成状況の確認できる学習評価システムの構築とを連動させることで、平行して学習者が自分自身で科目の達成状況を理解する。 具体的には、荷重や応力状態を視覚化する実験用教材の開発と実社会で経験している現象を取り入れた演習用テキストの制作を行う。ここでは、光弾性を利用した応力概念理解、ひずみゲージや変位計を利用した応力、ひずみ評価を用いて、「現象の見える化」とビデオ教材化を通じて学習者にとって応力やひずみなどの概念を分かりやすく説明できるようにする。演習用のテキストは、実験教材を有効に活用した記述ノート形式演習用教材を採用する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、教材開発と演習用ノート作成を継続して行っている。実験用教材として、光弾性樹脂を利用して荷重負荷による材料の変形や応力状態をイメージするための、実験系を揃えた。ここでは、圧縮、曲げを中心に光弾性縞からひずみ概念の理解を深めることが出来る。更に、おもりによる静荷重負荷によって発生する応力を三点曲げ試験、片持ちはり試験を通じて、ひずみゲージを平行して利用することで、教科書における応力計算やひずみの計算と比較検討をしながら、実験を行うことが出来る。演習用のノートは、学習者が教科書に同時進行する形で、穴埋めや独自の演習問題を組み込むことで、講義と平行しながら書き込みをしながら進めることが出来る。 これに対してeラーニング教材開発が遅れている。eラーニング教材は予習・復習の自学教材を前提に、上記実験を動画として組み込むことや応力や変形の概念を具体化することで、工学的センスを養うことを目的としているが、教材のための独自の図の作成が遅れ全体の進行に影響を及ぼしている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、教材開発を継続し、おおよその教材開発の基本形態を完成させて、今年の材料力学の講義の中で受講生に対して教材を試行的に利用しながら、使い勝手の利点、欠点等の分析を行う。 更に、この教材の教科目における位置づけを明確にして、学習単元や学習目標と達成状況を判定することの出来るマトリックス型評価システムの構築を図る。ここでは、学習単元ごとの重要度評価を行い、試験問題に反映させる。 この教材開発と評価システム構築の二つのアプローチにより、教科目における学習の到達状況を見える化することで学習者が得意な分野、苦手な分野を明確化し、弱点強化につなげる。教科指導者にとっては、教科目の学習状況と目標達成状況の全体像を理解することが出来るため、教科指導のPDCAサイクルの手段としても有効に活用が出来る。 学習者は教材を進めながら学習を行うとともに、課題の提出状況や試験結果をチェックリストで確認することで、学習項目ごとに学習達成度の評価を確認することが出来る。
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次年度使用額が生じた理由 |
教材開発が遅れているため、必要な物品購入に影響を及ぼしており、結果的に使用額が減少し次年度へ予算執行をスライドしている。
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