研究課題/領域番号 |
17K00995
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研究機関 | 東京工業高等専門学校 |
研究代表者 |
西村 亮 東京工業高等専門学校, 情報工学科, 講師 (80259829)
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研究分担者 |
高橋 三男 東京工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (40197182)
大塚 友彦 東京工業高等専門学校, 電子工学科, 教授 (80262278)
清水 昭博 東京工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (90149914)
松井 義弘 東京工業高等専門学校, 電気工学科, 教授 (40300545) [辞退]
一戸 隆久 東京工業高等専門学校, 電子工学科, 准教授 (40290720)
城石 英伸 東京工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (30413751)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 工学教育 / 障害学生支援 |
研究実績の概要 |
東京工業高等専門学校1年次において開講されている「ものづくり基礎工学」を始めとする実験実習科目で利用することを目的とし,ハードウェア整備として,旋盤用マシンセーフガード及び自動滴定装置を導入した.これらはいずれも肢体不自由者に対する実験実習上の安全性を向上させるものであり,当該学生に対する障壁を解消することができた.また,実際に障害を持つ学生が「ものづくり基礎工学」を受講することを踏まえ,他分野においても実施体制の検討を行った.その結果,他分野においては特別なハードウェア整備を必要とせず,健常者と同等の実験実習を実施できることがわかった.このように,障害を持った学生に対する実験実習上のノウハウを蓄積し,将来的な学生受け入れにおける障壁を下げ,共生に向けた基礎を築くことができた. 新規学習教材については,聴覚障害者でも利用できる動画教材の作成を開始した.物質工学分野においては,1テーマについて,スライドショーの形式をとり,説明音声と字幕をつけたものを作成した.情報工学分野においては,既存の説明用スライド資料があることから,実際に実験において行われている説明用の講義を録画し,これに字幕を付与した教材を作成する方針とした.現在のところ,2テーマについて録画を行った.また,字幕付与においては音声認識を用いた省力化を行うため,講義音声の録音も同時に行った.スマートフォン利用教材の開発については,物質工学分野において,色覚障害者を対象として要配慮事項の確認を行った.それを踏まえ,既存のアプリケーションを使用し,各実験テーマにおける色の確認ができるか否か検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度はハードウェア整備とそれに伴う実施体制等の検討,動画教材及びスマートフォン利用教材開発における試行を行う計画であった.前者については当初の計画通り,旋盤用マシンセーフガード及び自動滴定装置の整備を実施することができた.また,実際に障害を持つ学生が受講することを踏まえ,主として肢体不自由者に対する各分野における実施体制の検討を行うことができたことから,おおむね順調である. 後者については,特定のテーマを選定して教材の開発を行う計画であった.動画教材については,開発方針を定め,作成作業に着手しているが,完成した教材が少なく,充分な試行が行われていない.また,スマートフォン利用教材については,物質工学分野において試行が行われているものの,他分野では試行が開始されていない.このように教材開発に関する進捗状況は,当初の計画よりやや遅れている. 以上を総合して,現在の進捗状況は当初の計画よりやや遅れているものと考える.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は新規学習教材の開発を主とし,全分野の全テーマについて新規学習教材の開発を行う. 聴覚障害者及び視覚障害者への対応として,字幕を付与した動画教材を作成する.この字幕については,講義音声を基本とするが,読み取り速度を考慮し,適切に要約を行ったものとする.視覚障害者への対応としては,色の変化や差異を認識することが必要な場面を中心に,字幕の作成や色相の変換を行う.作成した動画教材については,予習と復習に利用できるようにすると共に,他のテーマの動画教材の作成の際に参考とする. スマートフォン利用教材については,全分野において試行を開始し,既存のアプリケーションを利用した開発を行う. 現行実験テキスト及び実施方法については,今年度の実施結果を踏まえ,ソフトウェア的な対策を中心に改善を加える.障害者と健常者が自然に共存できるよう,実験実習の分量と実施手順の見直し,グループワークの導入を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額228,963円の内,約166,000円は物品費にて,自動滴定装置及び旋盤用マシンセーフガードの整備を見込んだ費用の残額である.前者についてはほぼ予定額で整備できたが,後者については所用全数に対する整備では予算額を超過するため,整備台数を少なくしたことにより,残額が発生した.上記の分を除く約63,000円については,研究分担者に配分した直接経費の残額であるが,各分担者当たりの残額はいずれも配分額の25%未満であり,おおむね予定通りに使用されている. この次年度使用額については,今年度に整備できなかった旋盤用マシンセーフガードの整備,次年度計画にある教材作成及びそれに関連する実験テーマ試作のための材料費として使用する予定である.
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