研究課題/領域番号 |
17K00996
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研究機関 | 公立小松大学 |
研究代表者 |
八賀 正司 公立小松大学, 保健医療学部, 教授 (80123305)
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研究分担者 |
中山 謙二 公立小松大学, 保健医療学部, 教授 (00207945)
秋口 俊輔 富山高等専門学校, 電子情報工学科, 准教授 (50462130)
経田 僚昭 富山高等専門学校, 商船学科, 准教授 (50579729)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 体験型実習装置 / 教育実践 / 生体計測 / 臨床工学 |
研究実績の概要 |
臨床工学技士は医師の指示のもとに医療機器の操作や保守管理を行う。厚生労働省のチーム医療の推進による業務範囲の拡大から、臨床工学士は、いま以上に専門性の向上が求められている。臨床工学技士を育てる教育現場において、限られた教育時間の中で数多くの医療機器の原理や操作方法を学ばせることは容易ではない。学生の理解度をこれまで以上にアップさせるため、本研究では現場での医療機器をまねた教育システムを作成し、医療に工学技術を融合した生体情報計測の体験型教育実習装置(心電図・血流計・超音波エコー診断装置)の開発を行う。今年度は心電計と脈波計の実習装置を作成した。 心電計では、右鎖骨下、左鎖骨下、左肋骨下縁に貼り付けた3つの誘導電極から同軸ケーブルを介して差動増幅器に入力し、ハイパスフィルタやローパスフィルタを介して、雑音を取り除き、出力した。心電図信号の周波数成分は、100Hz程度とされており、この周波数帯域には、50または60Hzのハム雑音が含まれ、その周波数を選択的に除去するフィルタとしてハムフィルタ、インストスイッチ(基線動揺が起きた際に押すことで、基線を中央に戻す役割)、時定数調整SW、ゲイン調節(ゲインが高すぎると、QRS波が飽和してしまう)も組み込んだ。 脈波計に使用した照射光は生体組織を透過しやすい波長域にある。動脈血の酸素化ヘモグロビンの吸光度特性は920nm付近の赤外光にピークを持つことから、波長920nmの赤外光を照射光として用いている。回路の構成はフォトリフレクタ、ハイパスフィルター、増幅器、脈波信号の可視化(LED点灯)とした。 学生から実験レポートとして実験方法、実験結果、考察などを記載したものを提出させ、本2件の実習装置作成のアンケート調査も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心電計では、右鎖骨下、左鎖骨下、左肋骨下縁に貼り付けた3つの誘導電極から同軸ケーブルを介して差動増幅器に入力し、ハイパスフィルタやローパスフィルタを介して、雑音を取り除き、出力する。観測波形から低域遮断周波数を大きくすれば、基線動揺が抑えられ、低域遮断周波数を大きくすると、ST部分およびT波に変化が認められ、それぞれの部分は低い周波数成分を含んでいることが分かった。 脈波計では反射型フォトセンサRPR-220(赤外線LED及びフォトダイオードを内蔵した素子)を用いてある。拍動があると、フォトトランジスタの電流が減るため、抵抗での電圧降下が減り、出力電圧は増加する。逆に拍動の終わり頃には、電流が最大となり、抵抗での電圧降下が最も大きくなり、脈波の振幅は、約20mV程度にすることが出来た。 学生から実験レポートとして実験方法、実験結果、考察などを記載したものを提出させ、体験型実習装置作成のアンケート調査も実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
ファンクションジェネレータ(FG)から、周波数2MHz、振幅710mVppのバースト信号を、センサドライバアンプへ入力し、その出力を、小型の水槽の壁に貼り付けた送受信用の超音波センサへと入力、反対側の受信用の超音波センサでの受信波形および、水槽の壁で反射した超音波を送受信用の超音波センサで受信し、オシロスコープで観測できる実習装置を作成する。媒質の変化や、センサー間の距離の変化が、超音波信号に及ぼす影響を考察出来るようにする。また、センサーを並列に配列し、水槽に粘性の違う物体を入れて、エコー信号がどのように変化するかが体験的に・実験的に理解できるように改良を加える方策である。
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次年度使用額が生じた理由 |
教育実践を行うことは出来たが、対象学生の人数が数人程度だったので、広い意味での実習装置の改良を行うことが出来なかった。 今年度は超音波を利用した新規に実践的実習装置の開発と改良を行うので、超過分はその費用に充てる。
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