研究実績の概要 |
電磁気学は初学者にとって,その修得が非常に困難であるといわれている.その理由は電磁気学では, その基本法則である「マクスウェルの方程式」が電界と磁界との3次元的な時間領域の相互作用をともなうために,直感的な理解ができないためである。電磁気学の理解を補助するための,e-Learning 教材は多数開発 されているが平面的な画面情報から 3次元的な電磁界の把握は難しい.本研究の目的は,電磁調理器やワイアレス給電など身近な電磁界応用現象の再現システ ムと,プロジェクション マッピングおよび拡張現実技術を組み合わせることにより,目に見えない電磁界現象を視野上に映像として可視化し,臨場感あふれる 電磁気学 3 次元可視的教育システムを開発することである. iOS端末において標準機能として利用可能となったARKitを利用し,さらに,電磁現象を体験する教材として,簡易型ワイアレス給電器の試作を行い,本校学生の電磁気学理解への影響を調査を行った.その結果,電磁現象が可視化されることにより,より理解が深まったとのアンケート結果が得られた.その一方で,電磁方程式との関係が画面上に表示されないため,見えているものと数式との関係が画面上に表示されたほうが良かったとの意見も見られた. また,同じ教材にプロジェクションマッピングを行い,同一学生へのアンケートを実施した.その結果,より理解が深まったとの意見が多かったが,ARに比較すると特殊な機材が必要ないという利点はあるが,部屋が暗くなるという欠点を多く指摘された.
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