研究課題/領域番号 |
17K01002
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研究機関 | 津山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
佐々井 祐二 津山工業高等専門学校, 総合理工学科, 教授 (40235239)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 天体観測 / 食連星 / ケプラー方程式 / ランダム行列 / 地域貢献 |
研究実績の概要 |
地域貢献としての未来のガリレオ育成活動:世界天文年2009 から行っている小中学生対象の公開講座「天体観測会―君も未来のガリレオだ!―」については、第1回5/9(木)19:45~21:15「春の星座と火星を見よう」、第2回8/5(月)18:30~21:00「夏休みスペシャル 手作り望遠鏡で月を見よう」、第3回10/4(金)18:30~20:00「口径35cm望遠鏡で木星と土星を見よう」、第4回11/29(金)18:30~21:00「夏秋冬の星座を見よう」を開催した。保護者等も参加することと、なるべく多くの天体を見てもらうため受講生定員は1回当たり20名とし、25名に参加案内をしていた。計4回の講座の受講生は91名、保護者等も含む参加者は170名であった。90%を超える肯定的な評価があった。 高専生に対する未来のガリレオ育成活動:上記天体観測会に対し、3年全系横断演習Ⅰおよび4年全系横断演習Ⅱ学生9名には補助学生として、望遠鏡操作や「手作り望遠鏡」「ペーパークラフト」工作指導などで主体的に参加してもらった。また、4年生は前年に取り組んだケプラー方程式を用いる惑星の軌道シミュレータの改良に取り組んだ。 食連星の観測と光度曲線解析:測光解析ソフトAIP4WIN2が供給停止となったので、フリーウェアAstroImageJ利用の検討を始めた。また科学的活動として、多方面への応用が期待されているランダム行列理論の高専における教育的利用を目指して、ガウス型直交アンサンブルのウィグナーの半円則の導出について具体例を交えた説明を考えた。さらに、ガウス分布に従う擬似乱数を確率変数とする対称行列の固有値分布を計算機シミュレーションで求め、ウィグナーの半円則と比較した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
地域貢献としての未来のガリレオ育成活動:公開講座「天体観測会―君も未来のガリレオだ!―」については予定通り開催し、概ね好評であった。地域の小中学生に天文教育を行うという意味で、完全に達成できたと考える。 高専生に対する未来のガリレオ育成活動:上記天体観測会に対し3年全系横断演習Ⅰおよび4年全系横断演習Ⅱ学生9名が補助学生を務め「教えることで教えられる」相互教育を実施した。また、4年生の前期についてはケプラー方程式による惑星軌道シミュレータ作成のブラッシュアップについて指導を行った。 食連星の観測と光度曲線解析:科学的内容としてランダム行列理論に取り組んだ。測光解析ソフトの検討を行ったが、装置の整備とその活用が遅れている。有効活用のため科研費の延長手続きを行ったので「遅れている」とした。令和2年度に整備の上、その活用に注力したい。
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今後の研究の推進方策 |
未来のガリレオ育成活動:津山地域の小中学生には天文への興味付けと観測体験のため、天体観測会を継続する。ただし、新型コロナウィルスの影響で8月までの本校公開講座が中止となってしまった。状況が許せば10月以降の公開講座2回を開催したい。高専の全系横断演習生には天体観測会補助学生の他に測光解析などを重視する天文教育を継続する。 科学的活動:科学的成果を挙げられるよう、高専生と共に食連星についてWD計算コードやPHOEBEにより光度曲線解析を行い、対象連星系の物理パラメータや特徴を研究する。ケプラー方程式による惑星軌道計算についても取り組みを継続する。気象観測装置が利用できなくなっているので、更新等の対策を行う。また、ランダム行列理論の高専生に対するシミュレーション教育の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:学科改組進行中の校務に非常な時間を取られ、装置の整備とその活用が遅れた。今年度は本事業に注力したい。 使用計画:新型コロナウィルスの影響で出張しにくい状況が続くので、冷却CCDカメラ・分光器・気象観測装置・撮影用PC・計算用PCなどの機材に約180万円、国内出張旅費約7万円、公開講座補助学生等謝金約3万円、観測室制御系改良工作用パーツ等消耗品に約30万円の早急な使用を予定している。繰越分を有効活用したい。
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