研究課題/領域番号 |
17K01007
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研究機関 | 香川高等専門学校 |
研究代表者 |
天造 秀樹 香川高等専門学校, 電子システム工学科, 准教授 (90353333)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 放射線教育 |
研究実績の概要 |
近年、学習指導要領に放射線教育が導入されたことで小中学校での放射線防護に関する実験の重要度が増してきている。しかし、小中学校では、サーベイメータ―やガイガーカウンター、放射線源やその鉛格納容器を購入することは現実的ではない。また、教員の中には放射線源の管理や取扱いに苦手な意識を持つ教員も少なくない。一方で、放射線防護教育の観点から逆二乗則や高密度物体による遮蔽を指導する実験を体験することは不可欠なものでもある。そこで、本研究では、放射線源と放射線検出器の実物を使わずに試行性のある放射線遮蔽実験を可能にする実験ツールを開発し、その教育効果を評価することを目的とした。本研究で最も重要な点は近似計算モデルの検証である。本研究でサーベイメータ―を操作してステージ上の線量分布を疑似計測した感覚が類似していれば、問題ないという条件のもとで誤差を許容し、むしろリアルタイム性を追求することにする。ステージは複数の鉛ブロックが設置されることを想定して耐荷重200kgのステージを準備した。模擬放射線源と模擬サーベイメータ―の制御や無線通信機能はArduinoを用いて実装を行った。ステージ上のサーベイメータ―の位置を取得し、表示器 (アナログメータ、LCD)には、模擬検出部の位置情報を基に専用プログラム側で算出した空間線量が表示されるようにした。表示する空間線量には、サーベイメータ―で設定した時定数に応じて乱数で自然な統計的振れ幅を持たせ、アナログメーターの針に微妙な動きを持たせたり、クリック音の頻度にも揺れを持たせたりすることで検出器を実際に操作しているような感覚を与えるようにすることができるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定のとおりに開発は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
近似計算手法のベンチマークテストを行う。PHITSで予め、長時間かけてステージ上の全線量分布を計算しておく。模擬サーベイメータ―からのデータ呼び出し時にPHITSの計算値を呼び出したものと近似値から求めたものでサーベイメータ―を操作したときの線量分布について感覚的な相違がないかどうかで検証する。ビルドアップ係数が一定として近似している単純なモデルとしての近似計算モデルがうまく機能しない場合には、ブロックの入射点や入射角度によってビルドアップ係数を詳細に調べ、補正を加えることで解決するようにする。結合試験後に理科学体験イベントでアンケートを収集する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ計画どおりに執行できた。
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